【漫画・小説短評】3

 こちらは商業BL短評のマガジンでしたが、それ以外にも語りたい作品がいっぱいあるので単に「漫画・小説短評」にしました。
*あらすじはすべてamazonより転載してます(長いものはちょっと端折ってます)。

『IN THE APARTMENT』絵津鼓

あらすじ
「好きっていうより いとしい」
ある日の朝、小学生のときの同級生・杉本と妹尾は再会した。
偶然同じアパートに住んでいたふたりの間に生まれる交流。
大人になった妹尾はつかみどころがなくて、まるで猫みたい。
そんな妹尾を杉本はなぜだか放っておけなくて……

感想
妹尾の性格がすごくホンワカしててカワイかったです。
強気なようで弱気だったり、杉本に微妙に依存してるっぽかったり、なんかすごくほっとけない感じの子なんですよ。
読んでて「このコは絶対幸せにしたって!!」って杉本に言いたくなるような。
オススメ!

『妖は小説家に恋をする』丹野ちくわぶ

あらすじ
妖が見えてしまう特異体質で引きこもりの小説家・藤堂藍華。
まわりから気味悪がられてきたせいで人間には心を開けず、妖との繋がりだけが全てだった。
そんな折、狛犬の妖怪・凛太郎と出会う。

感想
内気な受けのところに彼のことが大好きな攻めが押しかけて来るというまあまあオーソドックスなストーリーですが、絵がとてもキレイです。
特に藍華が和服男子なのがすっごくイイ。
ただこれといった事件が起こるわけでもなく、全体を通して印象が薄かったのが残念です。
ヤバイ妖怪が絡んでくるようなのを期待してたんですけど。

『百と卍』紗久楽さわ

あらすじ
時は江戸時代・後期。
真夏の蒸し暑くせまい長屋で、熱い吐息交じりにまぐわう男がふたり――。
元・陰間の百樹(ももき)は、ある雨の日に卍(まんじ)に出逢い拾われた。

感想
ともかく世界観の書き込みがすさまじくてビックリしました。
作者は江戸時代と陰間にまつわることを熱心に勉強されたんだと思います。圧巻!
百の悲しすぎる過去(大好きなお兄ちゃんとの別れがもうね……)、それを全身で受け止める卍の伊達男っぷりが、情緒あふれる風景とともに描かれます。。
時代物が好きならホントにオススメ!!

『恋は仮面の内側に』ムネヤマヨシミ

あらすじ
雑木屋剛(ぞうきやごう)は、根っからのヒーローファン。
正義の味方になりたくて道理の通らない事を正していったら、いつの間にか不良のレッテルを貼られてしまっていた。
そんな中、近くの遊園地で、理想のスーツアクター(バイト)に出会い、友達になろうとするけど…?
仮面を隔てた、秘密の恋!?

感想
BL漫画と言えば「オシャレな職についてる男の子たちが恋する」と勝手に思い込んでいましたが、こちらは主人公が恋する相手がヒーローショーのスーツアクターです。
BLって結構なんでもアリなのか! と驚きました。
主人公・剛が直球タイプの正義漢でわたしはこういうの大好きなんですけど、相手となるスーツアクター・ウルフの考えや感情が見えにくくて、剛がひとりですったもんだしてるだけのシーンが長い印象だったかな。

『ダブルミンツ』中村明日美子

あらすじ
出会った瞬間、壱河光夫は市川光央の“目”に殺された。同じ名前を持つ、二人の男たちの愛憎の向かう先は――?

感想
『百と卍』と並んで今回イチオシなのがこちら。
高校時代のイジメっ子ミツオから、イジメられてたみつおに「女を殺してしまった」と電話がかかってくる……というサスペンスフルな始まり方で、もう最初の一ページからドキドキでした。
暴力で支配する側とされる側だったふたりの関係が変化していく過程がじりじりとした緊張感をもって描かれていて、こういう映画や小説が大好きマンのわたしは鼻息荒く一気に読ませてもらいました。
明日美子センセースゲー! マジモンの天才だ!!

総評

『ダブルミンツ』と『卍と百』はほんとにオススメです。
わたしは未見ですがダブルミンツのほうは映画化してるそうです。
見たくはあるんだけど、うーん、実写化ってあんまりスキじゃないんだけど……

(小膳)

ほんの5000兆円でいいんです。