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夢の街『ナイトシティ』で私を待っていたものは、もう一つの『人生』だった。〈cyberpunk2077〉【ゲーム好きの雑記第4回】

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2020年12月10日。私はその日を、8年間待ち続けていた。cyberpunkの発売日だ。仕事から帰り、スーツをおもむろに脱ぎ捨て、パソコンの電源ボタンを叩き、事前にDLしておいたcyberpunk2077を急いで起動した。

───そして、私は「V」としてもう一つの『人生』を始めることとなった。

今回のnoteでは、自分ができる範囲でcyberpunk2077という作品を解説していきたいと思う。間違いなく自分の知識だけではカバーできないので、気になった方は自分でプレイしてみたり、作品について調べてみたりすることをお勧めする。このゲームは一つの『人生』の追体験であり、人生というものは体験しないと理解できないなのだから。

崩壊寸前まで街に詰め込まれた極上の情報

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私がナイトシティに足を踏み入れた時、軽いめまいがした。脳に負荷がかかるほどの情報を一気に目から、耳から、一度に摂取したからである。それほどまでにこの世界は、情報にあふれている。テレビを見れば、最近あった事件のニュースや最新のテック(人体を改造するパーツ)の宣伝や商品の広告が流れ、道行く人の会話に耳を傾ければ地域の情勢が分かり、街を歩けば目に入る情報から世界を感じることができる。流れている番組や広告も取ってつけたようなものではなく、しっかりと世界を構成するのに重要な役割を持った完成度の高い映像となっている。しかし、それを見ることをゲーム側から強制したりはしない。あくまでそこに「在るだけ」なのである。
つまり貴方は、現実で街を歩いているときと同じ体験をすることができるのである。狂気の沙汰まで作りこまれた極上の情報を、あなたは一つ一つ見て歩いても良いし、バイクで風を切りながら通り過ぎても良い。

それがこの世界の自由であり、貴方の人生なのだ。

「選択」によって消えていく「私」と「V」の隔たり

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このゲームをプレイすると、あることに気が付く。選択肢の多さである。
作中の人間の運命を決めるような重要な選択肢もあれば、酒を飲む、飲まない。喧嘩を売る、売らない。などなど……そのほかにもあらゆる行動に選択肢が用意されている。
実際のところは、重要でない選択肢が大半であり、どちらを選んでも何も変わらないことがほとんどである。ではなぜ、そんな選択肢を用意したのか?答えは明白、作中のプレイヤーキャラである「V」と「私」を限りなくシンクロさせるためである。
ゲームキャラが勝手に行動するのと、自分が選んで行動するのには天と地ほどの差が存在する。前者は傍観者になるしかないのに対し、後者は自らの意思で行動している。また、選んだ選択肢における行動は全てアニメーションが設定されているため、自分の意思とシンクロさせるのにこれまた一役買っている。

一人称視点の長所を極限まで引き出したゲーム体験

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cyberpunk2077では、一部のシーンを覗いてほぼ全てのプレイが一人称で進んでいく。ゲーム業界において、一人称視点でストーリーを進めていくシステムはかの名作「Half-Life」から始まり、ゲーム内への没入感を高めるのに使われ始めた。「COD」や「BIOSHOCK」といった名作達も、Half-Lifeの意志を受け継いでおり、終始一人称視点となっている。それはなぜか?一人称ゲームの特徴として、「目線の高さでストーリーが進むことにより、まるで目の前の出来事のように感じる」ことに対して優れているからである。
しかし、今までのゲームでは、重要なシーンはプレイヤーの操作を受け付けないムービー状態になったりすることが多く、没入感の妨げとなることがあった。(BIOSHOCKに関して言えば意図的なのだが…)
しかし、cyberpunk2077では主人公のあらゆる行動に「自分の選択」が介入できるようにしたのだ。
美しいグラフィックで、物語が、生活が、自分の目の前で、選択で、そこに自分が居るかのように進んでいく。

これを「現実」と言わなければ、何が現実なのだ?

途方もない開発の末に「現実」となったナイトシティ

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今回提示した内容をまとめて考えてみる。テレビをなんとなく見ること、街にある広告を眺めること、友達と一緒に酒を飲むこと、憎い相手に中指を立てること…それらすべてを、自分で選択することによりその場にいるような感覚で行うことができる。

日常、いや、人生とは、大なり小なり選択の連続である。その選択を行うことにより、「自分」と「V」との境目が少しずつ無くなっていく。ゲーム内で様々な選択を繰り返し行い、最終的には自分とVが完全にシンクロするのである。自らが「自分」であり、「V」となるのだ。

そうして「自分」が「V」となった後はこのゲームに対して
たかがゲーム」と思うことはできなくなる。


画面の向こうに在るのは、
ナイトシティに住む自分の「もう一つの人生」なのだから。

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まだまだ書きたいことがたくさんあるけど、とりあえずこのあたりで終わりにします。また改めて別の視点からのcyberpunk2077の感想記事を書くんで、いい記事だと思ったら拡散してもらえると嬉しい…。

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