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ドラえもんのいない空き地はどこもかしこも駐車場

のび太は今日もテストで0点を取った。
バケツを持たされ、また学校の廊下に立たされた。
空き地の土管は撤去され、コインパーキングに変わってしまった。
ジャイアンはいつでも暴力に訴え、スネ夫のおしゃべりは週刊誌の五月蝿いゴシップ記事のようだ。
今日も0点を取ってしまったのび太は、今で言うところの立派な学習障害だと思う。
何ら解決策を示さず怒鳴るだけののび太ママは、今で言う立派な毒親モラハラだと思う。
そして、そんな家族にあまり関心を持たないのび太パパは、今で言う立派なネグレクトだと思う。
なあドラえもんよ、君のいない野比家は、まあまあハードやぞ。君のいない世界は、たいがい地獄やぞ。(終わり)
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(あとがき)
一人息子が6歳なので、土曜日の夕方は、よく一緒にドラえもんとクレヨンしんちゃんを見ます。
僕が子どもの頃、ドラえもんは夢のある良いアニメで、クレヨンしんちゃんは、PTAの親たちが選ぶ、子供に見せたくないナンバーワンの下品なアニメだと言われていました。
僕は好んでアニメを見ないタイプなので、30年ぶりくらいにドラえもんとかクレヨンしんちゃんを見ているのですが、大人になって見た印象はまったく逆ですね。
もちろん、おおらかな時代の物語を現代の基準で批判するのは卑怯でアンフェアなことだと分かってはいるのですが、それにしても、のび太のあの両親(ついでに担任教師も)、ひどすぎない?
毎回0点ってことは勉強の仕方が分からないはずなんですよ。宿題の1ページの1行目から何を聞かれているのか理解できてないはずで、自力でなんとかできる見込みは1ミリもないのに、繰り返し怒鳴られ続け、繰り返し廊下に立たされるのを見るのは辛い。ほとんど虐待に近い。
一方のクレヨンしんちゃんはすばらしいんですよね。あの両親が。しんのすけの話をしっかり聞くし、同じ目線で一緒に遊ぶし、ときにはちゃんと叱る。みさえやひろし(ついでにヤクザ風の園長先生も)は、自分の人生をしっかり楽しんでいて、子どもを一人の人間として扱っている感じがする。親とか教師を演じて、子どもを人間扱いしようとしないドラえもんの大人たちとは対称的ですね。
ドラえもんが良心的で、クレヨンしんちゃんは不謹慎だと言った30年前のPTAの皆さん方は、一体なにを見ていたのでしょうか。
もしかしたら、子どもを人間扱いするクレヨンしんちゃんの両親が不愉快だったのかもしれませんね。

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