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自分にしか語れないことは何か?

現在、薬学部5年生の実務実習が新型コロナウイルスによる緊急事態宣言を受けて、十分な期間実施できなかったことを受けて、補講が行われています。

そして、その実習の補講も終盤に差し掛かって、うちのスタッフ(薬剤師じゃない)から実習生に、実習の成果を報告する場を設けてあげたいと提案がありました。

実務実習では、いつも地区の薬剤師会で実習の終盤に集まって実習生の報告会を行なっています。しかし、今は新型コロナウイルスの感染リスクを考え、こういった会を開催できなくなっている。そんな状況を受けての提案で、二つ返事で開催を決定した。

今日は、実習報告会に向けて準備を進める学生と学生をサポートする指導薬剤師から、実習報告会での発表内容に関する相談を受ける中で気づいたことをまとめます。

実習生にしか伝えられないこと

私も実習生には関わる機会が多く、うちの薬局に実習に来た学生の実習報告会のスライド作成を支援したり、実際に地区の薬剤師会で開催される実習報告会に参加したこともある。

実習報告会での発表は、実習中に学んだことや体験したことを発表する姿が多く見られる。
学びや体験を共有すること自体に価値がないわけではない。それをまとめて学びを整理し自分の中に定着させることはとても重要だと思う。
ただ、それは自分の中だけでやったらいいことじゃないのかなということも一方で感じてしまう。

薬局での実習で体験した症例(病気に関する知識や情報)や症例を通して考えたこと(薬に関する知識や情報)は、今はインターネットで検索すれば得られるものも多い。このような情報はわざわざ学生から共有を受けなくても調べたらわかってしまう。
私は、そんな発表を聞くたびに、実習を体験した今語っている本人でなければ語れないことを語って欲しいなと思うのです。

実習における学びとは?

私は、実務実習指導薬剤師の資格をもっており、この資格を取得するためには2日間のワークショップに参加する必要がある。

このワークショップでは、実習生に関わる際の関わり方やそもそも薬剤師とは何者なのかをひたすらグループでディスカッションする。

そのワークショップの中で、初日の一番最初のイントロダクションで話された教育の概念と教育者の役割の話は、この2日間で一番印象深い学びだった。

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教育とは、教育機会を提供することで、教育を受けた人にパラダイムシフト(価値観の変化)を起こすきっかけを与えることだと言う。
与えられたきっかけからパラダイムシフトを起こして、行動を変えていくのは本人なので、教育者はとにかくきっかけを与え続けることが役割

このことから考えると実習においての学びは、新しく学んだ知識でも、体験した患者さんの症例でもなく、学生の中で起こったパラダイムシフトこそが実務実習における最大の学びになるんだと思うのです。

実務実習報告会で語って欲しいこと

実務実習報告会では、実習前後で起こったパラダイムシフトやパラダイムシフトを起こしたきっかけになる経験とその経験の中で変化したり、感じ取った自分の感情を発表して欲しい。それは、症例や知識は、薬歴やインターネット、専門書などから得られることができる情報だが、体験の中にある思いや感情は、本人にしか語れない唯一無二のものだと思うから

実習報告会は明日

この実習期間の中で起こった素敵なパラダイムシフトの経験を聞かせてもらえることを楽しみにしています。

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