【アパレル業界の話⑥】業界の年収の低さと副業禁止
気になるニュースに目が止まりました。
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO60408910W0A610C2EE8000
政府の副業への取り組みです。少子高齢化や人手不足を補う目的のひとつの考えとして、数年前からその促進をはかるためのガイドラインが制定され、一部上場企業においても、積極的に副業を推進する動きがみられました。今では、丸紅、新生銀行、日産、サントリー、パナソニックなどがダブルワークを許可しています。
しかしアパレル業界で副業を許可している企業はほとんどありません。業務に差し支えがある、労働時間の管理が問われるなどの理由からですが、職業選択は自由であるがゆえにまったく矛盾しています。
そもそも、アパレル業界の平均年収は他業界に比べ低く、ほとんどが500万以下であるのが実態です。にもかかわらず、副業を就業規則で禁止している会社がいかに多いかは、旧態依然とした考えが根強くあることの象徴でしょう。
コロナ禍の影響で多くの人が倒産やリストラで職を失い、生活の不安にさらされることになった状況を業界はどのように考えるのでしょうか。終身雇用自体あまりにも脆弱なシステムとなってしまった以上従業員自ら自身の身を守ることや視野を広げることにつながる兼業や副業が出来ないことはおかしいと考えて改善すべき喫緊の課題だと思います。
スイスの国際経営開発研究所(IMD)が最近発表した国際競争力ランキングでも日本は過去最低の34位となり、シンガポールや香港、台湾に大きく遅れをとっています。この評価は「経済状況」「政府の効率性」「事業効率」「インフラ整備」の4項目を基準にしたもので、年々評価を下げる日本がいかに非効率で経済や競争力を停滞させているか如実に表しています。
最も文化の先端を走るべきアパレル業界の経営が最も非効率的で矛盾を抱え古い体質から脱却できないでいることは皮肉なものだと思います。
国や企業はあてにならないことが改めて認識でき、自分自身やその仲間で現状を打破するしかない時代になっていると実感する今日この頃です。
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