【アパレル人の本心⑧】ハイウエストデニムと日本人体型

タイトシルエットから、エフォートレスを経て、世の中のファッショントレンドはルーズ&ビッグになりました。

いつの間にか、女性が愛用するデニムパンツのシルエットはローライズからハイウエストに変わり、市民権を得たハイウエストデニムは街中いたるところで目にするようになりました。

私の専門はメンズファッションですが、このウィメンズのトレンドには、正直否定的です。脚長効果などの謳い文句は、業界の都合、雑誌メディアの都合で、万人がその効果を発揮できるとは限りません。

しかし、常日頃語っているように、「周りの人が着ている」=「自分も着て安心」の日本人らしい同調性が自分自身の体型などお構いなしに新調して街を歩くことを誘発するのだと思います。

トレンドは繰り返すと言うことは簡単ですが、実際はそうではありません。正確には、全く同じデザインが繰り返される訳ではなくバージョンアップした形で近しいものがリバイバルするのがファッションの歴史です。しかし、ハイウエストデニムのトレンドは、昭和やバブル期を彷彿とさせます。ほとんど繰り返しに近いです。

しばらく、タイトフィットのトレンドが長く続いた反動ですが、最近は一挙に広がりをみせています。当初はショップスタッフに着用している人が多かった印象ですが、今では多くの人が着こなしの中に取り入れており、完全に普及のスピードは上がっています。

ここで、ひとつだけ指摘したいことがあります。

自分の体型に合っているかどうか今一度チェックしてほしいということです。

そもそも、ハイウエストデニムはローライズの飽和感から古き時代のオマージュ的な視点でリバイバルしたものです。(背景にはジェンダーレスな流れもありますが)スタイルがよいセレブや芸能人があえて古い雰囲気を楽しむことから広まりました。

しかし、みんなローラや冨永愛のようなモデル体型ではありません。そうでなければ着ていけないという訳ではありませんが、脚の長さやヒップの形などが目立ってしまう危険なアイテムであることを忘れてはいけないと思います。特に後ろ側のチェックは見づらいので怠りがちです。実際に日本人らしい体型というのがあるので、それをふまえて選ぶべきか慎重になったほうがいいでしょう。

万が一選ぶ場合は、ヒップは余裕があり、裾幅が狭くなっていくテーパードシルエットのほうが日本人の体型に合うと思います。ストレートやバギーのハイウエストのボトムスほど脚長効果の逆になるものはありません。

男性も女性も体型は千差万別です。なので自分自身でそれを熟知し、似合うアイテムを見つけ出すことがとても重要です。トレンドに乗って安心するのは分からなくもないですが、面倒がらず少しだけ、見極めと工夫をしてみることをオススメします。

トレンドに振り回されずチャレンジしながら、マイベスト、マイスタイルを作っていくのもファッションの大いなる醍醐味のひとつだと思います。

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