【メンズカジュアルの基礎④】選ぶべき素材

大変失礼な質問をします。

ウールってなんですか?
コットンってなんですか?

わかる人は多いと思いますが、もちろんわからなくても大丈夫です。では次に。

ウールって素材のことですか?生地のことですか?
コットンって素材のことですか?生地のことですか?

さらに続けます。

ウールって冬物ですか?
コットンって夏物ですか?

最後に

ウールってどんな洋服に使われるものですか?
コットンってどんな洋服に使われるものですか?

洋服屋さんでもない人で全部答えることができた人は、素晴らしいです。洋服屋さんは知っておかないといけません。もし知らなければ、この際、「素材と生地」について勉強したほうがいいです。

答えを言います。

•ウールは、洋毛(動物)です。
コットンは、綿花(植物)です。

•ウールもコットンも素材のことです。
両方とも天然素材です。

ザックリ言うと
素材→(紡績)→糸→(紡織)→
生地→(縫製)→製品

の過程の一番最初の段階のものです。

•ウールもコットンもあくまで素材なので、夏冬問わず使用されます。(生地には季節がありますが)

•ウールは、スーツやスラックス、コートなどの主にドレスなものに使用されることが多いです。

コットンは、パーカーやシャツやチノ、デニムパンツなどの主にカジュアルなものに使用されることが多いです。

以上です。

欧米人や昔の日本人はよく知っており、ものの価値を見極めることができました。今は、残念ながら知っている人は以外にも少ないです。ちょっと面倒くさいし、ややこしいからだと思います。

ちなみに、女性は関心がある人は少ないです。色やデザインには関心が高いですが、素材については特に気にしない人が多く、そのアドバイスも少ない印象があります。

そもそも最近のアパレル業界全体のトレンドが質よりデザインになっているので、素材にこだわってもきりがないと言えなくもないですが。しかし、これからは違ってくると思います。

ほどほどのファッションでいいと思っている人であっても、これからはサスティナブルを考えて洋服を選んでほしいので、基礎知識として知っておいてください。

少し難しい話をします。面倒な人は飛ばして下さい。

サスティナブルなものを選ぶ大事な基準のひとつは、天然素材を選ぶことです。人工繊維は石油系で自然に分解されません。生産過程、洗濯の時に糸が海に流出し、環境汚染につながっています。
日本化学繊維協会によると、17年の世界の繊維生産のうち人工の合成繊維はその7割を占め、そのうち、ポリエステルが6割に上ります。この10年、ほぼ横ばいで推移する綿やウールに対し、その生産量は右肩上がりに伸び続けています。
生産しても半分近くが売れ残るために、各アパレルブランドが原価を下げて洋服を作るらなければならなくなったからです。一番手っ取り早いのは、素材をケチることです。
天然素材は高い。特にウールは高いので、使われるべき冬のセーターやコートには、発色はいいけど、暖かさや丈夫さには劣るアクリルという人工繊維が使われることが増えました。試しに最近クローゼットになおした自分のコートの素材表示をチェックしてみてください。ウールではない可能性が高いです。

結論、お洒落を求める必要はありませんが、素材には気を使って極力、ウールやコットンなどの天然素材を選んでください。

さて、やや難しい話をしましたが、次に季節について解説します。

ウール、コットンいずれも季節問わず使用されることはお伝えしたとおりですが、生地になった時、季節によってはその厚みが違ってきます。

単純です。冬は厚みがあり、夏は薄いです。例えばデニムやチノパンツの場合、同じコットンでも夏はライトウェイトのものが主流です。冬になると逆にヘビーウェイトのものが多くなります。

素材が同じでも季節に応じて織り方を変え、生地をつくります。例えば先シーズンのトレンドであったコーデュロイなどはコットンの代表的な生地(しかし、コストが安いポリエステル製のコーデュロイが多く出回った)のひとつですが、まったくの冬向きのものです。決して冬以外は着用しないようにしてください。

つまり、同じものを一年中着ることはちょっと難しいということです。実は、前の回で紹介したものも通年向きではあるけれど、夏物として涼しく着ることができるとは言えません。まあほとんど人はシャツやデニムは一年中同じものを着ていると思いますが。原則夏物と通年物と分けて揃えていくといいでしょう。余裕があれば冬物を加えていくとベストです。

次回は夏に選ぶべきものを紹介しますー。

普通の格好でいいという人のために。

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