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睡眠薬 安定剤で認知症になるのだろうか?

睡眠薬や安定剤といった類いの薬は、時世のせいか未成年から高齢者に至るまで多用されています。そしてその類いの薬を使っている高齢者の一定割合の方々は「この薬を続けていけばいつか認知症になるんじゃないか」という不安を感じながら薬を飲んでいます。

この話題になりうる睡眠薬や安定剤はベンゾジアゼピン系というタイプに分類されるものですが、果たして本当に認知症になってしまうのか、薬学的に考察してみました。

認知症の分類

まず認知症とは原因によって大きく3つに分類されます。

1.アルツハイマー型認知症

(原因:脳にアミロイドβとタウと呼ばれるたんぱく質がたまり、脳の神経細胞が障害されることが原因になります。)

2.脳血管障害型認知症

(原因:脳出血、脳梗塞、くも膜下出血など脳の血管の障害で脳が損傷されることが原因になります。)

3.レビー小体型認知症

(原因:αシヌクレインというたんぱく質がレビー小体と呼ばれる構造をつくって蓄積することにより神経細胞が障害されることが原因なります。)

認知症とは脳の神経細胞が障害されて発症しますが、その原因が異常たんぱく質の蓄積によるものか、血管障害によるものかで分類されます。

ベンゾジアゼピン系の薬は認知症の原因になりえるか?

現在使われている睡眠薬 安定剤の多くはベンゾジアゼピン系に分類されるものです。そしてこのタイプの薬が認知症に関係するという論文も関係ないとする論文もあります。

こちらのサイトでベンゾジアゼピン系薬と認知症に関する論文が紹介されています。↓

ベンゾジアゼピン系薬と認知症の関連については、肯定も否定もあり結論は出ていないようです。

薬と関連がある有害事象は、副作用として薬の添付文書に記載されます。

よく使われる睡眠薬 安定剤の添付文書の副作用項目を確認してみると、

脳血管障害型認知症の原因となる脳出血は高血圧が、脳梗塞は脂質異常(コレステロール値 中性脂肪値)が引き金になりますが、ベンゾジアゼピン系薬の副作用にこれらの記載は見当たりません。

またアルツハイマー型認知症の原因のアミロイドβなど異常たんぱく質の上昇の記載も見当たりません。

このことからは、ベンゾジアゼピン系薬が直接認知症を引き起こす原因にはなりにくいと思います。

では、なぜベンゾジアゼピン系薬と認知症の関連性が取り上げられるのでしょうか?

ベンゾジアゼピン系薬と認知症の関連性

ベンゾジアゼピン系薬と認知症の関連性があるとすれば、次の2点が挙げられるかと思います。

1.ベンゾジアゼピン系薬の副作用

2.ベンゾジアゼピン系薬が持つ抗コリン作用

認知症の症状には、もの忘れ(記憶の障害)、これまでできたことができなくなる(遂行機能の障害)、言葉や認識力の低下といった(認知機能の障害)に加えて、“認知症の行動・心理症状と呼ばれる不安、幻覚、妄想、うつ症状、興奮、暴言・暴力、徘徊などの症状もみられます。

そしてベンゾジアゼピン系薬の精神系の副作用には、
眠気,めまい,ふらつき、頭重,言語障害、酩酊感,興奮,焦燥,健忘,刺激興奮,歩行失調、錯乱など

があり、これらの副作用症状は認知症の症状と重なる部分があります。

アルツハイマー型認知症の場合、脳内でアセチルコリンという神経伝達物質を作る細胞が減ることで、脳内のアセチルコリンの減少が生じています。アセチルコリンの減少が様々な認知症の症状を引き起こすことになります。

そしてベンゾジアゼピン系薬には抗アセチルコリン作用があります。結果的にアセチルコリンの伝達をブロックするので認知症症状を起こしえることになります。

以上のことより、ベンゾジアゼピン系薬は直接認知症を発症させることはないが、ベンゾジアゼピン系薬の服用で認知症の症状と同様の症状を起こすことがあると言えるのではないでしょうか。

認知症は治すことは難しく進行を抑える治療となりますが、ベンゾジアゼピン系薬による認知症症状は薬をやめればその症状もなくなると言えます。止めるのが難しい場合もあると思います。薬の変更 あるいは減薬で困った副作用症状が解消される場合もあると思います。


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