おおきなきがほしい
新型コロナウイルスの感染が拡大するずっと前。
大分にある飯田高原に家族で遊びに行った時のことです。
高原は久住連山への登山客や観光客で大変な賑わいだったのですが
私たち家族はあまり人が来なさそうな静かな林の中を散策しました。
すると、林の奥に低めの草が一面に生えている広場があり、
その端に大きな赤松(らしき)木がありました。
私はそれを見た途端、子どもの頃に楽しんだ空想遊びと
ある絵本のイメージとが心の中で重なるのを感じました。
佐藤さとるさんの「おおきなきがほしい」。
りすや小鳥が住み、見晴台がついている大きな木に登ってみたい。
だから、庭に大きな木を植えようよ。
と男の子がお父さんにお願いをするというお話です。
子どもの頃、誰しもそんな空想をしたことがあると思います。
この絵本はそれを男の子の目線でとても鮮明に、
そして自由に描いています。
子どもの頃は「自分の将来に不可能はない」とまで思っていたのに
いつの間にか自分で勝手に「できるできない」と決めてしまう。
私たちは物事をつい難しく考えてしまいますが、
この難しく考えてしまうということが
「できない理由」を作っているのかもしれません。
小説家、劇作家 井上ひさしさんの言葉を忘れないようにしようと思います。
「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、
ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、
まじめなことをゆかいに、そしてゆかいなことはあくまでゆかいに」