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吉祥寺 カフェの思い出

こんにちは、P山です。
皆さん、カフェで作業するのは好きですか?
仕事じゃなくても、スケジュール立てたり、ちょっと勉強したり、note執筆したり。

私はカフェでやるのが大好きです。
単純にラテマネーを遣ってストレス発散するタイプなのと、家だと怠けてしまう性分なので、他人の目があると頑張れるのかもしれません。
カフェでやると、なぜあんなに捗るのでしょうね。
逆に全然集中できない、という人もいるかもしれません。

10年ほど前、上京して数年のP山は吉祥寺(厳密には三鷹市)に住んでいました。
作曲家の夢を追いかけながら、バイトは駅前のハモニカ横丁。
絵に描いたような夢追い人で、今文章にするとめちゃくちゃ恥ずかしいですね。

バイトのないときは、家で曲を作ったり、楽譜を書く仕事があるときはカフェで書いたり。
といっても、作曲より編曲の方が好きで向いていることに薄々気付き始めていて、もらう仕事も編曲が9割。
それでほとんどカフェ通いが習慣になっていました。

クラシック畑の出身なので、その時はヘッドホンで音源を聞きながら楽譜を手で書いていくスタイル。
参考のスコアなどがあるときは、辞書のように隣に置いて。

ある日、とあるコーヒーチェーンの大きな円卓の席につきました。
店内はほぼ満席で、一人で一つの机を使える席は空いていなかったかな。
ヘッドホンをしてしばらく楽譜を書いていると、隣の席に男性が座り、ノートパソコンを広げました。
立ち上げたテキストのドキュメントはまっさら。
コーヒーをちょっと飲んではため息をついていて、(あ、なにか文章、思いつかないのかな)と思っていました。

ヘッドホンを外して、お手洗いに行くときに初めて、それが某有名脚本家の方だと気づきました。
彼の方が吉祥寺界隈のカフェで執筆なさるのは公然たる事実で、バイト先の飲食店でも度々お見かけしていたので、ちょっと驚きはしましたが、今日はここかぁ、ぐらいの印象でした。

マナーと言うかモラルとして、隣の画面は見ないように、黙々と楽譜を書いていました。
大体2時間ほど経った頃か、そろそろバイトの時間だから切り上げようと片付けを始めたところ、隣の彼の方は、また大きなため息をついて、顔をごしごし。
ちらと画面を見ると、2時間前から変わらず、まっさらなページがありました。

私はそれに衝撃を受けました。
メディアに出るような、たくさん実績もある方が、あんなに泥臭く、2時間も苦悩して、一文字も書けない時間を過ごしているのか、と。

当時私は、作曲の、その「何時間も苦悩して、一つも出てこない」ことが苦しくて、つらすぎて、そして情けなくて自信をなくしていました。
彼の方のような所謂“スゴイ人”でも、そんな苦悩があるのだということが、少しだけ私の心を軽くしました。

今でも時々、何かに踏み出したり、やり遂げることが途方もなく感じて立ちすくむようなとき、このことを思い出して自分を奮い立たせています。

(ちなみに、この翌年にあの朝ドラの放送が始まったので、改めてぶっ飛びました。
やっぱりとんでもないもの生み出すのは、並大抵のことじゃないよな、と、あのときの彼の方の姿を思い出したのでした。)



※画像お借りしました。有さん、すてきなカフェの写真をありがとうございます。





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