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キャンバスは記憶の中に

野底マーペーに登ってみた、話。

仕事終わりに。

 石垣島での仕事も佳境に入ってきた。本当にもう終わってしまうのかと思うと、なかなか寂しさがあるものだ。

 昨日から撤収作業が始まった。かなり時間がかかるかと思っていた、撤収作業だったのだが、想像以上にはかどってしまった。アルバイト5人と3日かけてやる予定を組んでいたのに、実際には2日でもできたかもしれない。

 17時まで作業してしまうと、最終日にすることがなくなるからと。17時までの作業を15時で切り上げることにした。(そうしないと、3日目に来てくれる人に、給料を払えなくなってしまう。) 未来を見通す能力がないというのは、なんとも厄介なことだ。


 おかげで、わたし自身も少しゆとりができた。これは想定外のラッキーだった。

 なにをしようかと、そんなに悩んでいたわけでもないのだけど、ひょんなことから、予定が埋まっていく。

*****

 アルバイトで来てくれていた、現地移住したみなさんと昼に弁当を食べていた。そこで、「於茂登岳に登ったよ」という話をした。

 すると、こういうのだ。

 『野底マーペーには登ったか? 眺望はそこが最高だ、東シナ海と、太平洋が両方見れる。駐車場まで行けば20分で登れる。』

 そう聞けば、行くしかないではないか。

登山道よりも林道。

 たまたま「子どもたちを連れて登りたい、と思っていた」という方がいたので、ガイドをお願いした。

 18時前に林道入り口で待ち合わせた。きいていたのは、「登山道がある」とのことだったのだが、実際には登山道のほかに林道があって、そっちを行くと頂上までの近道だったらしい。一人で行ったいたら、登山道を行くところだった…。

 18時前に登り始めた。日没は19時過ぎ頃だから、その時間はまだ明るい。小学生の娘さんとその友達も来ていて、にぎやかだった。子どもらは学校帰りとのこと。学校帰りに山に登るとは…、自分の小学生の頃にはなかなか無かった遊びだ。羨ましくも思えた。

 のぼり道はなかなかきつかった。「まぁ、いけるだろう」とサンダルで来てしまった。(サンダルでも大丈夫だと、きいていたので) 。スニーカーで来なかったことを少々後悔した。

 のぼり道では、小学生は先へ先へと行ってしまう。それを大人二人が追いかける。

 さっきまで田んぼで仕事をしていたはずだったのに、なかなかギャップのある光景も、あったものだ。

 20分もかからずに、道の前に大きな岩が見えてきた。

 これが頂上のしるしだ。


 時間の割には、なかなかの疲労感だったが…。

 それも吹き飛ばされる光景に

 出会うことになる。

世界を眺める。


 野底マーペーは面白い形をしていて。

 頂上に大きな岩が重なっていて、その上がゴールだ。

 正直怖いくらいに高いし、危険だ。

 が、それ故に、景色は最高だった。

*****


 切り立った崖のような頂上から、

 西をみえれば東シナ海。

 東をみれば太平洋。


 こんな贅沢な場所はなかなかなかった。

 於茂登岳よりもよっぽど眺望はいい。


 ここまできてよかった。

 またいつか。

 ここに戻ってくれたらいい。


 そう思って、ココロのキャンパスに

 この絵を残そうと思った。


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