見出し画像

いつまでも終わらない花火をみつめる方法

家族が5泊6日の石垣滞在を終えて、帰路につきました、という話。

起床のとき

 きのうは、最後に花火をした。

 夕闇の中で、こどもらが手持ち花火を楽しんでいる。その様子がなんとも、得難いことのような気がした。

 花火が燃え尽きるまでが、

 なんだかやけに。

 短く感じたものだ。

*****

 出発の朝は、だいたいあわただしい。寝る前におおよその準備は済ませたつもりだったのだが…、朝はそもそもいそがしいところに、輪をかけて、荷物をまとめ、ごみを捨てて、身支度までしなければならない。

 10時に宿をでても、飛行機の時間には間に合うはずなのだが…、あれよあれよという間に、時間が過ぎる。

序章あっての、物語。

 2月15日に、石垣島に来てからというもの…。あわただしいばかりだった。

 うまくいかない仕事を抱えながら、苦しみつつ。

 ”任せてしまえばあとは他人事” といわんばかりの、本土の役職者たちに対する苛立ちがつのり…。

 「もう、勝手に帰ってしまおうか」と、まるで当然のことのようにそんな想像をしたものだった。

*****

 それも今思えば、家族とゆっくり過ごす時間をより楽しむための、布石のようなものだった気がしてくる。

 なんとも、楽しいものだ。家族で過ごす時間というのは。

いまやるべきことと、いましかできないこと

 今回学んだことは、「いましかできないことの価値」だ。

 最近よんだ「DIE WITH ZERO」にも書いてあったが、結局のところ、”今しかできない体験" がある。そして、その価値は思っている以上に大きかった。

 本の中では、「人間は年をとると、お金を使わなくなる(衰えるから)。だから、いましかできないことはやっておこう」というようなことが書かれている。

 この内容へは、けっこうその通りだな、と安易な共感を抱いた。

 10年後に石垣島に来れば、その時に合った体験や気づきがあるだろう。でも、きょうこの瞬間出なければ気づけなかったこともあるはずだ。家にこもっていても、楽しいことはたくさんある。でも、ここに来たからこそ、わかることもある。

 大切なのは、楽しもうと思うことだ。

 子どもらが大きくなれば、なった分だけできることは増える。今回は石垣島だったが、今度はヨーロッパやアフリカにだって行けるようになるかもしれない。

 果ては、宇宙旅行だったりするだろうか。


 今回は、石垣島に連れてきてやれてよかった。

 いままでとは違う体験をさせてやれた。飛行機に乗り、温かい空気に触れ、牛車に揺られ、水平線を眺め、海で泳ぎ、船でウミガメを探した。

 次に来たときは、もっとマリンスポーツを楽しませてやりたい。


 ストイックさもいいが…。

 あとで楽しむため、

 自分のココロを満たすために。

 いろんなチャレンジをする考えの持ちようを、養えればいい。

*****

 子どもらが大きくなったころには、どうなっているだろうか。

 働かなくても生きていける時代がくるかもしれないらしい。


 もし、そうなったとして。

 どうする。

 遊ぶしかないじゃないか。


 人生を楽しむ方法を見つけるための体験を

 させてやりたいと思う。


去っていく機影をみつめながら

 11時15分発の那覇行きの便で、帰っていった。

 離陸していくANA機を展望から見届けながら。

 「またしばらく、ひとり生活か…」

 と鬱々とした気分がこみ上げてきた。


 まぁ、それ以上に楽しんだ。

 それで構わないのだ。


 昨夜の花火を思い出す。

 夕闇の中で花火に照らされた、子どもらの楽しそうな表情。

 花火は終わっても、思い出の灯は

 もうしばらくは、消えそうにない。


___


 

 

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?