シェア
ヤマアラシ
2020年4月14日 01:29
大きなお風呂の壁一面。シャボン玉が、赤、黄、青、橙、紫、緑、藍。ふう、と吹けば、ふるりと揺れた。触れればつるりところがった。ただよう湯気に揺蕩った。ぴちゃり、ぽちゃり、ちゃぷん、とぷん。耳の奥でパチンと弾けてなくなった。
2020年3月30日 13:58
目の前に箱があった。気になって開けてみたらあっというまに真っ暗になった。もうどうにもするすべがなかった。また開いたときはだれかがのぞきこんできた。その青年を見たときは女性とまちがえるほどやさしい顔であった。名を水木といって屋敷へ入れてくれた。かれのごはんはどれもやさしい味で、身を清めてくれた手も天女のようにやさしくて。どうしてこんなにやさしいの。ふしぎに思ってみたら、お気に入りだか
2020年3月18日 22:14
お目覚めかい。じゃあこちらにおいで。「ここはどこですか。」お屋敷だよ。ある方の。さあ、ご主人がお待ちだよ。礼儀正しくするんだよ。「では、しつれいいたします。」お前、名は。「Aといいますごしゅじんさま。」若旦那。「は、」そう呼びなさい。「はい。」こっちへおいで。「はい。」もっと近くへ。「ですが若旦那が気分を害します。」かまわない。顔をみたい。「でしたらなおさら、」意