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仏像物語 (3)
橋のたもとのお地蔵さんは
念仏橋と呼ばれる小さな橋のたもとに
小さなお地蔵さんが立っていました。
なぜ念仏橋と呼ばれるのか、
いつ頃からお地蔵さんが立っていらっしゃるのか、
語られることもありませんでした。
お地蔵さんは小さな子どもぐらいの背丈で、
ときどき鳥が肩にとまっていました。
誰がお世話しているのか、
いつも赤い頭巾をかぶり、
赤いよだれかけをしていました。
![](https://assets.st-note.com/img/1713757389931-VbLCtRM9K7.jpg?width=800)
この辺りは元は沼だったので、
雨が降ると橋の上まで水があふれ、
バスも走れなくなります。
でもお地蔵さんは流されることなく、ほとんど崩れた土手の上に立っていました。
![](https://assets.st-note.com/img/1713754666372-3j1YxVQa43.jpg?width=800)
春の始め、この辺りが大工事をされることになりました。
水があふれないようにするためです。
たくさんのトラックがやってきて、
たくさんの金網が張られ、
たくさんの作業着の人たちが集まってきました。
バスの窓からはお地蔵さんの姿は見えません。
見えるのは、
工事現場のトラックや恐竜のような機械だけです。
バスの中で小さな声が……。
「あのお地蔵さんは江戸時代に作られたそうよ」
「苔むしていたもんね」
「戦争中は機関銃でガンガン打たれて、傷だらけだってよ」
「念仏橋も江戸時代に作られたのが」
「壊れるたびに作り替えられたって」
「お地蔵さんはどこに行ったのだろう」
実は……
近くの古民家資料館の中にいらっしゃったのです。
工事の人達が大切に運んでいったということです。
おわり
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