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Kusabue 近詠⑩ 30句 悠凜さん選



noteに発表した俳句作品の中から
「今月の1句」
「今週の1句」
を悠凜さんに選んでいただいています

2020年
10月~12月の結果です



2020年

12月

◎今月の1句◎

ゆく道のかなたまで未知落葉踏む

落ち葉の下って、何があるのかわかりません。あの『カサカサ』と言う音やフワフワする踏み心地に誘惑されて踏んでしまいますが、もしかしたらゴミがあるかも、何か生き物がいるかも知れません。2020年は、そんな不安定な地の上を歩いているような一年だった気がして、こちらを選ばせて戴きました。それでも、落ち葉の下で暖を取るスズメがいるように、きっと見えない道の向こうでも夜は明けるのだと信じたいものです。


【今月の1句候補】

かお上げてもう三歳の日なたぼこ

ゆく道のかなたまで未知落葉踏む

いまの世よだまったままの冬の月

お歳暮よおもいはとおい嶺を越え



◯今週の1句から◯

さいごにはすべてを焚べて夕焚火

今は焚き火も難しい世の中になりましたが、落ち葉を焚いているだけのあの炎、あたたかくて、でもどこか現実ではないような不思議な雰囲気があったなぁ、と思い出します。


◇今週の1句 まとめ◇

降る雪よ背中をむけたほうが過去

山みちのあしあと凍りついていた

さいごにはすべてを焚べて夕焚火

はじまりのひとりをたたえ聖歌隊




11月

◎今月の1句◎

だれか言えにんげんもみな風花と

我が物顔で生きてる気がする人のひとりですが、実際には自然から見たら、単なる塵芥みたいな存在と言えるのでしょう。舞って、溶けて、消えてゆく儚い風花だけど、キラキラしてますよね。そう思った時、汚なくて弱くて狡い、そんな中にも確かに存在する、綺麗で強くて高潔なものと重なるのかな、なんて思いました。


【今月の1句候補】

都市ひとつばくぜんとして初時雨

画家は描け楽士は鳴らせからっ風

噛みあててさびしい芯よ冬りんご

釣鐘は打つもの雪はたまわるもの

だれか言えにんげんもみな風花と

嶺に雪死ぬも生きるも身をもって



◯今週の1句から◯

行くみちのままにそだてよ七五三

私は自分の子どもはいませんが、幼なじみや同級生の子どもを見ていても、知らない近所の子を見ていても思います。特に、七五三などで晴れ着を着た子を見て、誇らしげに、恥ずかしそうに、幸せそうに、笑っているのを見るにつけ、大変なことはあるだろうけど、そのまま大きくなって欲しいな、としみじみ思う歳になりました(笑)


◇今週の1句 まとめ◇

風おとのすき間すき間よのこる虫

見つめるは過去かみらいか返り花

行くみちのままにそだてよ七五三

吹きわかれ行きわかれして木枯か




10月

◎今月の1句◎

とびが舞う都市まんなかに大枯野

今、コロナ禍にあって、それだけのせいではないでしょうが、大きなキッカケの一つとなり、都会から散って行く現象があるようです。どれほど煌びやかであっても、人がいなくなる建物や街は、枯れて行くようなものと思いました。


【今月の1句候補】

大宇宙をものおもいして灯の秋よ

そのむねに手をあててみよ秋彼岸

横断歩道のまんなかあたり秋の風

さきもりのすがたをいまに草の花

胸に灯をともして夜学こつこつと

笛吹いて天にとどくかあきまつり

いちぞくのれきしは口伝秋うちわ

とびが舞う都市まんなかに大枯野



◯今週の1句から◯

生きてこそかずかぎりない草の花

よく、星の数に例えることがありますが、無数の小さな花たちに例えているところが秋らしく、また星よりも現実味を感じました。


◇今週の1句 まとめ◇

歳げつはひとすじの道すすき手に

しあわせかそうでなければ温め酒

神社にも灯ともさせてよ秋のあめ

生きてこそかずかぎりない草の花

Kusabue





悠凜さん
ありがとうございます









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