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四季折々の俳句 17




「 ゆっくりと 」

見さだめてのぼりゆくなり秋の嶺

日のひかりすくふ手のひら水の秋

わがこころながれてゆけり秋の雲

今年米透きとほるまで研ぎにけり

音あげてすだちしぼるや焼秋刀魚

日のひかり月のひかりへ吊るす柿

こころざす人のかずだけ夜学の灯

きんいろのふる里おもふ稲穂かな

えださきにゆくへさがして芋虫よ

いつせいにひらきて今日は菊花展

菊活けてしんとながめる暮しかな

秋遍路あすへむかつてあるくのみ

ゆびさせばみな立ちどまる秋の虹

秋の灯をともして後はゆつくりと

一人食ふ柚餅子は香りたかきかな

秋の虹じんせいは詩にほかならず

死をおもひ生に行きつく秋思かな

栗の飯生きると決めて食ひにけり

サーカスのピエロが煙草吸ふ暮秋

言うてよりますます寒き夜明かな

庭ぢゆうを掃き清めたる焚火かな

風つれてやつてくるなり焼き芋屋

一人寝て夜明けとなりし炬燵かな

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