スカーレット・レム

あつい、あつい 滴る汗
赤く滲む
まぶたの向こう
もう何日も熱帯夜
むき出しの皮膚をかすめ
通りすがる 甘いにおい

ひとつ、ふたつ 氷の音
独り涼む
気配だけが
さみしいのに熱帯夜
少しばかり身動きして
声に出さず きみを呼んだ

ぺたり、ぺたり 迫る踵
徐に縮む
距離はどこへ
息もできない熱帯夜
眠りのふち聞こえた声
きみも今 ぼくを呼んだ?

ひとつ、ふたつ 重なる肌
二人を編む
つめたい指
離れがたく熱帯夜
同じ温度溶け合うきみ
懐かしいね そんな夏も

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夏の思い出

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