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変わらないよここだけは

優しくて私の大好きな先生達がどんどんいなくなってしまう気がする。
事実、私が在籍してる2年間で私の学校の教員の編成は大きく変わってしまった。

有名で人気”だった”先生が再任用での任期も終わり私たちが最後の教え子になるということを今日教えて貰った。
それを聞いてとても悲しくなり、授業中泣きそうになりながら私はその人の話を聞いてた。

考えてみれば、その先生は私が入学した頃は有名先生に選ばれるくらい人気で入学する前からも噂を聞くくらい絶大な支持を得ていた。
私もその先生の授業を聞くのをものすごく楽しみにしていた。
そして、ようやく私はその先生の担当する講座を取ることができた。
だけど、取ってみたら同じ授業を取っている子の声は想像していたのと全く別の物だった。
『あの人の授業はプリントが多すぎる。』
『あの人の授業何がやりたいのかわからない』
そんな声が私の友人からも飛び交うようになっていた。
以前は生徒も先生もお互いが作り上げていたこの授業も、今やその人だけが1人張り切っている独壇場となってしまったようだった。

振り返ってみれば、私が去年まで取ってた授業の先生達は受験の為の勉強じゃなくて、社会でこの先私たちが生きていく為に必要な知識を教えてくれてそこから何が問題で私たちに何ができるか余すことなく考えさせてくれる人達だった。
そんな先生達の口癖は
『君たちは個性があって、才能もあって、未来もあるんだから、好きな事をどんどん突き詰めていきなね』
だった。
そして、生徒達もそんな声に応えるように物事を本質まで深くまで掘り下げようと努力を惜しまない人達だった。

だけど今私の学校にある意識は、
物事を深くまで考えたくないから、ササッと終わらせて、資料も読みたくないから分厚いプリントよりも内容が少ないプリントの方がいいと簡略化するように変わっていった。
そういう状況に愛想を尽かしたのか知らないが私の大好きな先生達はひとり、またひとりという風にこの学校から去ってしまった。

意識が変わったことの弊害かわからないが私の学校は自己管理が出来ない傍若無人がたくさんいる学校と認知されるようになった。(確かに、そういう側面も出てくるようにはなったけど)
そこで新しく来た人は私の学校を根こそぎ改革し始めた。

もともと、私の学校は自由な校風で先駆的なのも相まって、進路が多岐に渡っているのが特徴だ。
例えば、一流大学に進む人、美術系、音楽系などなど
だから、昔から私の学校にいた先生は授業の内容を他の高校と敢えて違ったものにし、受験では問われない芸術的なところまで教えていた。
だけど、新しく来た人はそんな事はお構い無しに私たちからいろんなものを奪いみんなを画一化させて、身なりも統一させようとさせ、この学校を、生徒をひとつの塊として扱うようになった。

たしかに、私もダメな生徒の1人でかなり遊び呆けている。
そういう生徒が往々としているのは事実だしそこは変えないといけないんだと思う。
だけど、私は授業がおもしろくて大好きな先生達の授業をサボったことは1度もない。
そして、同じく遊び呆けている生徒もそういうおもしろい先生の授業はほとんどサボらない。
多分そういう先生達は来たり来なかったりする生徒の扱いが上手く、どう扱えば生徒が来るのかをよくわかっている。
生徒も同じようにそれを理解してその先生を信頼してサボらなくなる。
だから、生徒をそんな塊のように扱わなくたっておもしろくていい先生のところにはみんな自発的に行くんだよって私は言いたい。

正直今の私にはどうしたら先生、生徒双方に取っていい学校が出来上がるかなんてわからない。もしかしたら塊みたいに扱われたら素敵な場所ができるかもしれない。

だんだん教員が入れ替わると共に先生の立ち振る舞い方も変わっきている気がする。
これは、別にここに限った話じゃなくてどの学校でもただ寄り添ってくれる様な先生が減ってきてるんじゃないかってことだ。それは年齢的なものもあると思う。周りにいる寄り添ってくれる様な先生達はみんな定年を超えたか定年間際の人達だ。
私はそういう先生達が授業をし、みんなとたわいもない話をしてるだけなのに、慌ただしい生活から切り離してくれてゆったりとした時間が流れていくのが大好きだった。
もちろん、冒頭で書いたみんなにとっての”その人”も私にとっては”その先生”だ。

学校も社会も大きく変わって、無駄なものは省かれ、体罰など悪影響なものもたくさん減ってきた。それはとても嬉しい事だ。
だけど、体罰が起こるってことはそれだけ生徒と先生の間が近かったことを意味するのではないか。
21世紀、私たちは良くも悪くも離れてしまった。そして多くの人はそれにより悪いものから守ることが出来たが逆に助けを呼べなくなってしまったのではないかと思う。
言い換えるなら義理と人情が無くなったというのだろうか。
だけど、私の大好きな先生達はみんなそういう人としての温かみを持っている。
名前も知らないような生徒のことを気にかけ、いつでも新しいことを吸収しようとみんなと交流をし続ける。
私はそんな先生が大好きなんだ。
だから、その安心感に包まれていたのにいきなり蝋燭が消えるようにふっと先生達が居なくなってしまうのを感じて寂しくなって泣いてしまいそうになったんだと思う。

そして、今私の学校は怖くて私の大嫌いな先生達の巣窟になってしまった。

だからもう少しだけこのまま変わらないでいて欲しかった

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