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ピアノの先生とコーヒーを飲みながら恋バナをしていた10代半ばの思い出

4歳から高校3年まで、ピアノを習っていた。

と書くと、けっこう弾ける人みたいに聞こえるけど。実際は中学くらいで挫折していて、レッスンも教本を真面目に練習していくというよりは「弾いてみたい曲を持ち込んで、先生に見てもらう」スタイルに変わっていったため、それほど上達はしていない。

それでも、レッスンに通うのは楽しかった。なぜなら、先生とのおしゃべりが大好きだったから。

教室に行くと、先生がコーヒーとおやつを出してくれて、そしておしゃべりタイムが始まる。学校の話、友達付き合いの話、親とケンカした話、受験勉強がつらい話、好きな人が彼氏になるまでの話(実際、彼氏を連れてって紹介までした)・・とか、とにかくいろんな話をした。先生も、まだガキだったであろう私に対して、仕事や家庭の話とか、学生時代の話とか、好きな人の話とか、たくさん話してくれた。上からな感じは一切なく、同じ目線で話してくれていたと思う。

私にとって先生は、信頼できてめっちゃ安心して気軽に相談できる大人のお姉さん的ポジションの人だった。・・しばらく後になって聞いたのだが、先生は実は私の父と同い年だった。マジでびっくりして「え、ほんとですか?ほんとに?」と3回くらい聞いてしまった。

家と学校の往復がほとんど、という生活を送る中、親にも学校の先生にも話したくなくて、友達にも話しづらくて、でも超悩むわどうしよう!って思ったときに、私は「今度のレッスンのときに先生に相談しよう」という選択ができた。きわどいかもしれない悩みも親身に、かつ冷静に聞いて、そして背中を押してくれるから。思春期の私にとって、この大人のお姉さんは本当にありがたい存在だった。当時も、もちろんそう思っていたけど、後になってから感謝の気持ちはさらに増した。私がこの多感で脆くて危なっかしくて貴重で大事なこの時期を、特に大きな問題もなく過ごせたのは、先生のおかげによるところがとっても大きいのではないかと思っている。

地元を離れてから、お世話になった先生とも連絡を取ることが減り、最後にメールか年賀状でやりとりをしてから10年くらい経ってしまった。お姉さんだと思っていたら実は自分の父と同い年だった先生は、もう還暦を迎えているということになる。

思い出した時が、タイミングかもしれない。どうしても突然にはなってしまうんだけど、先生にメールしてみようかな・・。

先生、また話したいことができました。いろいろあったけど、無事に大人になって仕事も頑張ってます。そして、あのとき紹介した彼氏は、夫になりました。またコーヒーを飲みながらたくさんおしゃべりがしたいです。


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