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水着はないけど、スカボロービーチ

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山下由のオーストラリア滞在記。ウルルは大きなちゃんみたいでした。
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2019年9月の記事一覧

「ずっとここで暮らしたい」と白黒の花嫁

「ずっとここで暮らしたい」と白黒の花嫁

同じシェアハウスで暮らしていた小林さんは僕より5つくらい年上のいつもニコニコしているさわやかな男だった。
彼は結婚式などで写真を撮るプロカメラマンだったが、辞めてカメラ片手に世界を転々とし、そのころオーストラリアで永住権を取得するために調理師を目指していた。

彼はいつもリビングでギターをぽろぽろ弾いていた。彼は永住権のためだけに英語を勉強し、調理師になろうとしていたので料理は出来るけど、別に作る

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スプーンに映るぼくとナイストゥーミーチュー

スプーンに映るぼくとナイストゥーミーチュー

留学する人にとってオーストラリアのバイトにもランクがあって、日本人しか働いてないところは中でも一番低い。楽な代わりに(日本語しか使わなくていい)何故か時給が最低賃金を下回る。いまだに仕組みはわからないけどそうだった。

次のランクが日本人が経営しているけど英語がネイティブじゃない外国人も働いているところ。ここは日本語も英語も半々使う。自給は大体最低賃金くらい。一番いいのはネイティブの人が経営してい

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でもキャシー

でもキャシー

オーストラリアの人と結婚した日本人との間に生まれた子供たちに日本語を教えるボランティアを3ヶ月くらいやった。

5~7歳くらいまでの子供たちが日本の文化や言葉を勉強するために週に一回日本人のボランティアスタッフが色々教えたり遊んだりするクラスが開かれていた。両親がどちらも日本人で暮らしている日本語も英語もほぼネイティブな子もいれば日本語は全くわからない子もいた。基本的にはそのクラスでは日本語で話し

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嫌われ松子の一生

嫌われ松子の一生

僕はその頃、変なストイックさを抱えていて仕事先とシェアハウスにいる日本人以外とは極力話さず、英語のみで生きる生活を心がけていた。日本語で書かれている小説も読まず、映画は英語字幕の吹き替えでない洋画ばかり見ていた。でも英語力は中学レベルの下の下と言う感じだったので意味はわからなかったし、外国の人と話す会話もかなりの部分が勘でしゃべっていた。

なんとかこの滞在中に英語を習得したい。その一身で好きな映

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アンパンマン悪魔

アンパンマン悪魔

ベビーシッターのバイトをした。バイトと言えるのかちょっとわかんないけどジャパニーズレストランで働いていたときにそこの日本人店主の子供にやたら気に入られて、店主が帰りが遅いときなんかに時給で子供たちを見守った。
子供は5歳のお姉ちゃんと3歳くらいの弟くんだった。他の従業員も彼らの面倒をたまに見たけど何故か僕がよく気に入られて、僕がウェイターで他の女の子が散歩に連れて行ってあげるシフトになっていても僕

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