ありがとうといえない世界

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最近の記事

松村康貴様へ(往復書簡6)

5月8日に新型コロナウイルスの感染症分類が2類から5類へ変更となりました。この業界にいるのにも関わらず、細かな変更点の違いというのを完璧に理解しているとは言い難いですが、要は今まで普通に世の中に蔓延していたインフルエンザ等と一緒の扱いにしてもいいですよ、ということみたいです。これで数年前の日常に戻れる、というわけでもなく、世間はまだ恐る恐る、周りの顔色を伺いながら自分がどう社会で振舞っていくのかを見ている感じがします。とはいえ全国の介護施設ではこの日を境に面会制限を緩和したり

    • 鞆隼人様へ(往復書簡5)

       宝塚にきて1年4か月、引越しと同時に犬を飼いはじめたからか月日がたつのを早く感じます。というのも犬は生後1年で人間に換算すると16歳まで成長するので、自宅作業がほとんどの僕はこの1年4か月を〈犬の時間〉、つまり16年以上を1年4か月で駆け抜けた…、とまでは言い過ぎですがとにかく早く感じたことは確かです。その犬も1歳半、幼い頃は散歩が嫌いで歩いてもらうのに苦労したものです。いまは逆にかなりの時間を費やし散歩をしたがるのでそれはそれでちょっと億劫なところもあります。犬種はビーグ

      • 松村康貴様へ(往復書簡4)

        ⁡自他ともに認めるワーカホリックなので、休みの日になると何をしていいかわかりません。なのでなにしようかなと自転車に乗って街をウロウロすることがよくあります。よく行くのは市立図書館。今は情報がすぐに手に入る時代となりましたが、それはおそらく「自分が知っている知らないこと」でしかなく、それ以上には出会えないのではないか。でも図書館や本屋さんは少し趣が違って、「自分が何を知らないかを知ることができる」そんな場なんじゃないかと思い、よく足が向くのかも知れません。⁡ でも先日は久しぶ

        • 鞆隼人様へ(往復書簡3)

          「おばあちゃん!」と、少女は大声を上げました。「ねぇ、わたしをいっしょに連れてってくれるの? でも……マッチがもえつきたら、おばあちゃんもどこかへ行っちゃうんでしょ。あったかいストーブや、ガチョウの丸焼き、大きくてきれいなクリスマスツリーみたいに、パッと消えちゃうんでしょ……」少女はマッチの束たばを全部だして、残らずマッチに火をつけました。そうしないとおばあさんが消えてしまうからです。(『マッチ売りの少女』アンデルセンより)  鞆さん、お便りありがとうございました。お便りを

        松村康貴様へ(往復書簡6)

          居酒屋の哲学者 松村康貴様へ(往復書簡2)

          ⁡ ⁡ お手紙ありがとうございます。ひょんなことから始まったこの往復書簡ですが、大変嬉しく、松村さんからの手紙を心待ちにしておりました。そして楽しみすぎて勝手に通り名までつけていることをお許しください。これだと居酒屋を哲学する人みたいですね。でも居酒屋での哲学から始まった対話だったので、凄くお気に入りなのです。自分では松村さんにピッタリだと思ってたりします。 ⁡ このやり取りの始まりも些細なきっかけでしたが、松村さんの心に浮かんだ魅力溢れる問いも、些細なきっかけが始まりだった

          居酒屋の哲学者 松村康貴様へ(往復書簡2)

          鞆隼人様へ(往復書簡1)

           最近ではなんでもかんでも音声案内やチャットである。去年の今頃、東京から宝塚(兵庫県)に引越した時のことを記しておこう。引越し早々電話回線のトラブルがあり解決するのに右往左往したことを思い出す。どういうことかと言うと、問い合わせ先は、まず引越し前に住んでいた地域を管轄する◯T◯東日本に問い合わせればいいのか、はたまた引越し先の地域を管轄する◯T◯西日本にすればいいのかわからない。そもそも今回のトラブルは◯T◯に問い合わせる案件なのか光回線を契約している携帯会社に問い合わせるべ

          鞆隼人様へ(往復書簡1)