絵空文庫(6) 2021.4.7
絵空文庫は、とある世界の名著や噂の新刊を「秋霖書房」の書店員さんのコメントとともにご紹介するコーナーです。今週はこちらの2冊です。
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尾畑愛著 『日輪の罪』
◇あの目が眩む光の中にあるものを、一体誰が見通せるというのか。
「普段はとても明るくて、あんなことをする子には見えなかった」。両親を殺害した一人の男子高校生に関する取材は、そんなありきたりな回答が大半を占めた。そして、ついに対面を果たした本人の印象は、あまりに聞いていた通りのものだった。明るく礼儀正しく、その上聞き上手な少年。担当記者の森川はいつしか取材の事も忘れ、ただ話をするためだけに彼のもとへ通い詰めるようになる。
本当に怖いのは一見そうは見えないもの。ただこのテーマをとことんまで突き詰めた一冊だね。誰にも分からなかった少年の本性が露になる場面は、作者にとってまさにその象徴なんだと思うよ。少し捻った作品を読みたい人にオススメかな。
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戸賀駿平著 『鈍色道中記』
◇苦浪人、駆ける!!
江戸の世を渡り歩く浪人、義助。剣の才には恵まれず腕は並以下。これといった芸も無く、おかげで毎日の路銀にも困る生活を送っていた。そんなある日、義助は道すがらに大怪我を負った盗賊の頭と出会う。相手が大罪人とは知らずに助けてしまった彼は、当然のごとく裏切られ、更には盗賊の一員と誤解されたことで公儀からも追われる羽目に。絶体絶命の逃走劇、浪人の運命や如何に。
ハラハラドキドキ…なんて今日日聞かなくなったけど、そんな言葉がピッタリなんじゃないかな。次はどんな波乱があるのか。どんな驚きをくれるのか。昔ながらの冒険活劇にも通じる魅力を感じたよ。夢中になって読める、シンプルで良い作品だね。…ところで、これから時代劇は私の担当ってことになるのかな?
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今週は内容の濃い2作品でした。あとは、想像力のページをめくるだけ。いつでも絵空文庫はあなたのなかにあるのです。
それでは、また来週お会いしましょう。(絵空文庫 編集部)
絵空文庫は全てフィクションです。実際の人物・作品とは一切関係ありません。
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そうそう、次週はアライくんがあの人気シリーズを紹介してくれるそうだよ。
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Yuki Kurosawa / Creator
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