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息子のことばはわたしと絵本で出来ている(わたし編)

息子は今、ことばを学んでいる。
少しずつ新しい音が出せるようになり、彼なりのお気に入りのことば、口癖も大分増えてきた。

「あっぴぃ」が「はっぴぃ(Happy)」になると「お、今日はhの音が発音出来る様になった!」とアルファベット表のhに💮をつけたくなるような達成感があるし、「あっぽぉ」が「かぁっぽぉ(空っぽ)」に変化すれば「あっぽぉってりんごのことじゃなかったのか!」という謎解きの答え合わせのような爽快感がある。彼の中で音がひとつひとつ増えていく過程を毎日観察するのがわたしのここ最近の楽しみだ。

息子のことばのレパートリーについてあれこれ思い巡らせていると、彼のことばには親(主にわたし)から学んだことばと絵本から学んだことばの2パターンがあると気がついた。

書いてみると長くなってしまったので、今回は親から学んだことばについてまとめてみる。

■ 子は親を映す鏡

息子の1番の口癖は「じぇんじぇん(全然)」だ。
英語の絵本に"Then"という単語が出てきても「じぇん!」と反応する。単純に音の響きが好きなようだ。

全然ない。全然平気。全然あり。全然大丈夫。
痛い?全然痛くないねー!

数えてみるとわたしも夫も1日に何度も「全然」という単語を使っていて、その度に息子がドヤ顔で「じぇんじぇん!」と被せに来る。
可愛い。それはそれで良い。

問題は、最近真似するようになった「もお!」の方だ。

もう!勝手にプリンタのインク出さないの!
もーう!テーブルの上にたっちしなーい!

初めて息子の口から「もお!」返しをされたとき、ハッとした。
ネガティブだ。日頃から感情的にならない様に気をつけているつもりだったけれど、どうやら本当に"つもり"なだけだったらしい。息子から「もお!」返しをされる度に「あ、わたしまた怒ってる」と反省させられる。怒るのではなく叱りたいのに。「もう!〇〇しない!」ではなくて「〇〇の代わりに××にしようね」なんていう大人の対応がしたいのに。自分が情けなくて泣けてくる。

更に白状すると、息子の「もお!」の言い方が可愛すぎてつい笑ってしまう。悪いことをしたら真剣な表情で、穏やかに、目を見てしっかりと叱る。どこかでそう習ったはずなのに。怒ったと思ったらすぐ笑ってしまうので、きっと息子は本気で叱られていることを理解していない。「わかった?」と聞くと上手い具合に「じぇんじぇん!」と返してくることさえある。やはり全然わかっていないらしい。世の中のお父さんお母さんは一体どうやって上手に叱っているのだろうか…。謎だ。

話が逸れた。

要するに子供の口癖は親の口癖。
大人同士の会話でも、彼らには細かなところまでものすごく良く聞こえていたりする。聞いていて悲しくなるような言葉より楽しくて幸せな口癖が増えるように、自分の普段の口癖を意識して、ネガティブなことばを減らしていきたい。

■ 「はんぶん!」の正体

はんぶん!はんぶん!はんぶーん!

ん?半分て何?何の半分?

ここ数週間、ずっと息子の発する「はんぶん」の正体を考えていた。自分のことばを振り返ってみるも「半分」というワードは特に使っていない。

息子がどんなタイミングで口にするのかをよくよく観察してみると、
朝起きぬけに「はんぶん」
洗濯物から靴下を見つけて「はんぶーん!」
夫が仕事に出かける朝のお見送り。玄関の前で「はんぶーん!」
「お散歩行こうか~」「はんぶーん!」

はんぶん=散歩か!!!

試しにゆっくりと「さ ん ぽ」と教えてみると「は ん ぷん」と返ってきた。間違いない。息子はまだ「S」の音が言えない。「P」は意識すれば「はんぷん」や「はんぽぅ」になる。「B」と「P」の音は近いため、意識しないと勝手に「B」になってしまっているのだろうと推測している。

日本人が L vs R の区別が苦手なのと同じように韓国人は B vs P の区別が苦手だという。わたしには「B」と「P」は全く違う音に聞こえるが、ことばの覚え始めの息子にとっては似た音に聞こえるものなのかと思うと興味深い。

靴下と散歩。玄関と散歩。頭の中で良く結び付けていたなと感心した。
それと同時に、元々散歩にあまり興味を示していなかった息子が、いつの間にかにこんなにも散歩が好きになっていたこと。その想いをこんなにも必死に伝えようとしていたことを思うと、驚きと嬉しさで胸がいっぱいになる。「はんぶん」の正体が判明してから、散歩は1日2回行くことが増えた。

「かぁっぽぉ( 空っぽ)」にしてもそうだ。息子が言いたかったのは決してappleではない。お茶が空っぽのとき、ごはんのお皿が空っぽになったとき。まだ食べたりないとき。空っぽだよー!と教えてくれていたのだ。

親の口癖を単に真似するよりも、自分が伝えたいことばを発する方が恐らく何倍も何十倍も難しい。何を言っているのかさっぱりわからないときほど、本人にとっては伝えたいことばなのかもしれない。そう思うと、どんな場面でよくそのことばを使うのか、今どの音に苦戦しているのか等、息子の些細な言動にも上手く寄り添って答えを見つけてあげられたらいいなと思った。

■ ことばが人をつくる

一度嫌いと口に出してしまったら、その人のことをどんどん嫌いになってしまう。逆に口に出さなければ、そこまで嫌いにはならない。

わたしは決してスピリチュアルな人間ではないが、小さい頃から何故だかそう固く信じていて、今でも嫌いという言葉は口にしないようにしている。

逆もまた然り。Happy!Happy!と家族で言い合えば、そこには確かにHappyな空気感が出来上がる。どんな言葉であれその言葉の持つイメージがあって、口に出すことで多かれ少なかれ口にした本人に影響を与えていると思う。

名は体を表すというが、ことばもその人柄を良く表す。例え今は意味がわからなくても、息子が口にすることばは、美しいことば、前向きなことば、優しいことばで溢れていてほしいと思う。

わたしのことばはそのまま息子のことばになると思って、普段の言葉遣いをもっと綺麗に、丁寧に。そして魅力的な口癖を意識して増やしていきたい。








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