『いつも「時間がない」あなたに 欠乏の行動経済学』を読んでみた。あと、ダイエットした。

去年からダイエットをしている。
1日に食べられるカロリーをだいたい1700キロカロリー程度にして、週に3、4回トレーニングをするというもの。
1700キロカロリーにさえ収まれば何を食べたって良いことにしているので割と楽だけど、1ヶ月で5キロ痩せる効果が出て驚いた。

何より、驚く程食べ物への意識が変わった。
仕事の休憩中に食べていたお菓子とか、ご飯を大盛りにするようなことが無くなった。(なくなってはない)。
最初は辛かったけど、もうすっかり慣れたのも不思議。
最近は「ミックスグリル食べたら1000キロカロリー。。。食べると夕飯が食えなくなっちまうぞ。。」的に自然と考えるようになった。

今までは何も考えずに食べてしまっていたけれど、1700キロカロリーに限定することで「昼にミックスグリルを食べて夕飯をめちゃくちゃ質素にする」と、「昼食と夕食のどちらもそこそこ食べられる」が比較されるようになった。
疲れた時にコンビニに行った時も、人に何かを勧められた時も、カフェに行って抹茶ラテとコーヒーで迷った時もその意識は不思議とある。
人は何か期限や制限を設けることで、何か行動を起こすことの結果や弊害を集中して考えることができるのだと分かった。

「ダイエット」と「時間がない時」

こんなようなことは時間でもお金でも何でも言えることだってのが驚く。
時間は無ければない、ある時はあるてな感じで誰かがコントロールしてくれるもんだと思いがちだけど、自分でコントロールする余地はあるなと『いつも「時間がない」あなたに』を読んで思った。
このツイートがきっかけで読んでみた。

面白いツイートしている人がお勧めしている本は大概面白い。


トンネリング

大体において提出物はギリギリに仕上げてきた人生だった。何事もギリギリまで手をつけず、ギリギリで何とか終わらせるなんてのはザラだ。
期限ギリギリの物が優先度が最も高くなって、他のものが目に入らなくなっている状態を作者はトンネリングという。他のものはトンネルから出て行き、終わらせないといけないもの、今考えないといけないものだけがトンネルの中にある状態になる。
じゃあ、トンネリングは悪くないのかというとそうではない。

処理能力への負荷

トンネリングは優先度が2番目以降のものをトンネルから追い出してしまう。1つの物しか考えられない状態だ。
テストの前日に勉強のことだけ考えるなら睡眠を忘れるくらいだから良いけれど、他の時は同じくらい優先度が高い物がいくつかある。
家庭だったり、仕事だったり、趣味だったり。仕事でトンネリングを起こせば、趣味や家庭は追いやられる。
仕事で大きな問題を抱えていれば、妻の悩みの話も頭には入ってこない。
PCと同じで、重い処理を動かしていれば他にリソースを割く余裕がなくなってしまうということ。本の中ではこの現象がどれだけ人間の処理能力に負荷をかけるかがのべられている。

被験者は数字を記憶するよう言われる。その後、フルーツとケーキを自由に食べても良い別室に連れて行かれる。
覚えるのが簡単だった2桁の数字を言われていた人はフルーツを、7桁の数字を言われた人はケーキを食べる結果になったらしい。
余裕がない時に正常な判断はできるわけないし、正常な判断をしたければ余裕を作らなきゃいけない。
筆者はソローの言葉を引用する。

「人の豊かさは気にしないでいられるものの数に比例する。」

暇=スラックの重要性

本では、貧困層がなかなかやるべきことをやれないこと等暇がないがために引き起こされる問題を兼ね合いに出し、暇の重要性を述べる。
意識的に裕福な時にスラックを作ることが肝心だ。
来月は今より暇な気もしてしまうけれど、多分そんなことはない。きっとその時はもっと大事なことでトンネルに入っている。
きけんなとんねるにはいらないために、意識的に余裕がある時にスラックを作っておく必要がある。
備よ常に。だ。

おわり

時間がないからといって、何事も断ったりしちゃあいけないけど、正常な判断ができるような工夫、処理能力をわざわざ低くするような事態は起こさないに限るぞ。

面白い本だった。

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