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3行日記 #133(冬芽、破魔矢、豆まき)

二月三日(土)、くもり時々晴れ、節分

高野川に沿って出町から高野へ。曇っているが、遠くの尾根までくっきりと見える。頭の上にたくさんなってなんだろうと思っていた薄茶色の殻のついた実が下に落ちていた。川の中に白いヘルメットが落ちていた。向こうから黒白茶のキャバリア。すれ違うとき息をのむ。チャックよりも耳の毛が長い。

午前、喫茶店で。少年が巻物のような筆箱をざざあとひろげると、二十四色の色鉛筆が現れた。少年は頭に鷹がついたペンをさささと走らせて輪郭を整えると、おもむろに黄色の鉛筆を握り色を乗せていく。画用紙いっぱいのピカチュウができあがった。ノートも、箱型の筆箱もポケモンだった。

午後、高野から一乗寺へ。辛夷のもふもふの冬芽が膨らんでいた。女の子の歌う声が聞こえる。タラリーリー、タラリーリー、タッタ、タラリーリー♪ 一乗寺のいつもの喫茶店が臨時の休みのため、久しぶりにもうひとつの喫茶店へ。小学校の入口にある掲示板に、おばあちゃん語、という詩が貼ってあった。おばあちゃん語は/胸にふくふく/あたたかい言葉です

寿司屋で恵方巻を買った。待っているときに大将と話すと、アンパンマンやプーさんなど、キャラクターの顔に見立てた寿司をにぎる店だった。

夕方、高野から出町柳へ、高野川にそって今朝歩いた道を戻る。のっぺりとした雲に覆われ、光と影が曖昧になった平均的な光に包まれている。白いヘルメットはそのまま。糺の森の上空にカラスの群れが旋回していた。薄茶色の実が落下し、踏まれて割れていた。

京阪で。中国人らしき観光客の女性が電車で困り、となりの女性に話しかける。三条に行きたいらしいが、今乗っているのは逆方向だった。尋ねられた女性は、とっさに近くの紙袋のなかにあった破魔矢を手にとり、破魔矢の先で路線図の駅名を指しながら説明していた。

夜、藤森神社の節分祭へ。拝殿が赤く照らされ、ドンドコドンドコ、太鼓が鳴っている。裏のほうに腰を下ろし、東北東微東をむいて恵方巻に齧りついた。甘酒をもらう。からだが温まる。厄除けの草団子も買った。七時二十分、拝殿の左袖にスタンバイ。ここからが長かった。雅楽の土台を片づけるのに電動ドライバーを持ち出して、本格的な解体作業が始まった。八時から追儺式とのことだが、建物のなかで執り行うので待機。結局、一回目の豆まきは八時半くらいだった。昨年はひとつもとれず悔しい思いをして帰ったが、ことしは妻が最前列、私が二列目、期待が高まる。豆まきがはじまった。一度、妻の前くらいに大量の豆がかたまりでぼとりと落とされ、大量にひろった。その後、鬼が登場し子どもたちが豆を投げつけてやっつけた。となりの小さい子が怖くてギャン泣きしていた。次は豆まきかと思ったが、まさかの再度鬼が登場。こんどは巫女さんが弓をひき、最後は蜘蛛の糸に絡めて退治した。いざ、二回目の豆まき。今回もまずまずの収穫だった。昨年はひとつも捕れなかったが、今年はなんと三十九個。サンキュー。当たりのシールが貼ってないかを確認。あまり期待していなかったが、なんと、「1」のシールが貼ってある!わあ!二人してテンションMAX。その後、もう一枚「1」を発見。期待をしながら引換所にむかうと、1は一番たくさん当たる卓上カレンダーだった。まんまと主催者の手口にはまってしまった。でも、昨年よりも大幅な前進だ。一瞬の喜びをありがとう。

チャックの散歩は間に合わず。豆を持っていくから待っててね。

いよいよ明日は立春。

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