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3行日記(!、杼、てんぷら油)

十月二十四日(火)、晴れ。
霜降、霜始降、しもはじめてふる

朝、起きると妻が、きょう朝起きたらな、と話しはじめる。壁にビックリマークがあってん。カーテンから漏れる光が壁にあたり、ちょうど「!」の形に見えたようだ。写真で見せてもらったら、たしかにビックリマークに見えた。起きなさい!という天啓かもね。

夕方、八百屋で里芋と茄子を買った。ある文章に「織物でいえば杼(ひ)をさあっと走らせるような……」という比喩があった。杼ってなんだろうと思って調べてみると、機織りで上下に分けられた縦糸の間をさあっとくぐり抜けて横糸を通す、木の船のようなかたちをした道具のことらしい。さらにその漢字は「どんぐり」とも読むらしい。そこで私は、なんと!としみじみする。というのも、今年二回計画している子どもの学びの場のテーマが、織物とどんぐりなのだ。偶然に選ばれた二つのテーマが、実はつながっていたのだ。

夜、里芋と鶏むね肉の照煮、梨。チャックの散歩、出発してしばらく進んだところで、妻の姿が見えなくなった。チャックは妻がいなくなると、足を止めてしまい動こうとしない。戻りながら探してみると、暗がりに妻がしゃがんでいるのが見えた。何をしているのだろうと近づくと、何やらポリタンクのようなものの蓋を回して開けている。ラベルには、使用済てんぷら油、と書いてある。使い終わった油を捨てるところがあるらしい。役所の前とかではなく、民家の前だが、どういう仕組みなのだろうか。区役所をかすめて公園を抜け、商店街を通って帰宅した。おやつをあげなかったら、なかなか家に入ろうとしなかった。

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