マガジンのカバー画像

日本語研究夜話

14
泉子・K・メイナード先生(ニュージャージー州立ラトガース大学栄誉教授)が、「本」についての個人的な思いを「夜話」として語る連載。日本語学の古典といわれる名著をとりあげる「本はイン…
運営しているクリエイター

記事一覧

13. 本はインスパイアする! 神尾昭雄 『情報のなわ張り理論 ―言語の機能的分析』 …

あくまで個人的な思い出 筆者は一度だけ、神尾氏にお会いしたことがある。1999年の春、カリフ…

くろしお出版
1か月前
3

12. 本で冒険する! 『マルチジャンル談話論 ―間ジャンル性と意味の創造』 くろしお…

ビジュアル記号の分析という冒険 2000年代に入り、コミュニケーションは、バーバル記号だけで…

くろしお出版
2か月前
5

11. 本はインスパイアする! 永野賢『文章論総説 ―文法論的考察』 朝倉書店1986

学問的巡礼 その頃筆者は、談話分析という分野を日本語研究に応用するため、試行錯誤を繰り返…

くろしお出版
2か月前
6

10. 本で冒険する! 『日本語教育の現場で使える 談話表現ハンドブック』 くろしお出…

談話分析と日本語教育 筆者は、上級の日本語コースを受け持つようになって久しいが、日本語学…

くろしお出版
4か月前
4

9. 本はインスパイアする! 奥津敬一郎 『「ボクハウナギダ」の文法  ダとノ』  く…

やっかいな「ダ」 日本語の文型には、動詞で終わるいわゆる動詞文と、ダで終わる名詞述語文が…

くろしお出版
5か月前
4

8. 本で冒険する! 『談話言語学 ―日本語のディスコースにおける構成・レトリック・…

文法から談話法へ 日本語研究では、まず、文法が重視される。しかし、筆者は、談話法とも呼べ…

くろしお出版
6か月前
3

7. 本はインスパイアする! 中村雄二郎 『パトスの知 ―共通感覚的人間像の展開』 筑摩書房 1982

あくまで個人的な事情 筆者は日本語研究を進めるにあたって、日本語学、国語学、言語学、社会言語学などの分野だけでなく、隣接する知的領域にヒントを求めることがある。日本語の情意というテーマを追っていた頃、筆者は哲学者中村雄二郎氏の「パトスの知」、「共通感覚」という概念にめぐり逢った。中村氏は全集としてまとめられている作品を含む膨大な著作で独自の哲学思想の世界を描いており、筆者はなるべく多くを読ませていただいたが、その斬新で繊細、美的で情的な哲学構築の全体像を理解するまでの勉強は

6. 本で冒険する! 『情意の言語学 「場交渉論」と日本語表現のパトス』 くろしお出…

あくまで個人的な事情 人間のコミュニケーションには、感情が欠かせない。感情的な側面をどの…

くろしお出版
8か月前
5

5. 本はインスパイアする! 時枝誠記 『国語学原論』 岩波書店1947 [1941]

本とのめぐり逢い 筆者は大学生のころ東京文京区に下宿していて、神保町の古本屋街に行くのが…

くろしお出版
9か月前
10

4. 本で冒険する! 『談話分析の可能性 ―理論・方法・日本語の表現性』 くろしお出版…

文から談話への冒険 日本語には、文という単位を中心にした統語論の枠組みだけでは解決できな…

くろしお出版
10か月前
5

3. 本はインスパイアする! 鈴木朖『言語四種論』 名古屋国文学会 1931

あくまで個人的な事情 1985年頃だったと思う。筆者は帰国した際、ある書物を探していた。江戸…

くろしお出版
11か月前
5

2. 本で冒険する! 『会話分析』 くろしお出版 1993

あくまで個人的な思い出 『会話分析』は、原稿を手書きで準備した最初で最後の著書である。そ…

3

1. 本はインスパイアする! 三上章『象は鼻が長い ―日本文法入門』 くろしお出版 198…

あくまで個人的な事情 筆者は、1970年代後半、アメリカの大学院で言語学を学ぶことになった。…

9

『日本語研究夜話』へようこそ!

こんにちは! 泉子・K・メイナードです。   私は、長年、日本語研究に従事してきましたが、その間に感じてきたことを、何冊かの「本」にまつわるよもやま話として、まとめてみました。書評や紹介記事ではなく、あくまで個人的なつぶやきですので、お話として読んでいただければと思います。   昨今、紙の本を読む研究者は減少し、また話題のChatGPTやGoogle Bardなど対話型生成AIが学問の世界を変えていくという予想もあります。しかし、国語学・日本語学という分野が生み出した知の遺産