小説 『何が、彼女を殺したか』 (16)
note公式テーマ「#家族の物語」応募作品。ある一人の少女が殺された後、残された遺族たちの再生の物語です。全21回にわたり、お届けします。
▶︎目次
村野正臣の手紙
雨ヶ谷さんへ
今日は、いつもの手紙じゃない。どういう手紙かというと、もう二度と手紙を送らないという手紙だ。
何年も、僕は手紙を書いた。ゆるしてほしいとあやまった。証こはある。それなのに、そっちからは何の返事も返ってこない。読んでるかどうかも分からない手紙なんか書く意味ないでしょ? だからもう、僕は何も書かないことにした。■■■■■■■■■■この手紙だって、わざわざ便せんを買ってるし、手紙を出していい回数も決まってるのに、ほかに手紙を書くのをやめて、お前に書いてたんだ。それなのにムシするなんて、■■■■■■■■。
どうせ黒塗りにされるんだろうけど、言ってやる。
こんな僕をいっしょうけんめい支えてくれる人たちがいるのに、お前みたいにムシする人もいる。
やす先生たちは、悪いのは僕じゃなくて、僕を作り出した周りだと言うけど、その意味がやっと分かった。
悪いのは僕じゃなくて、■■■■■■■■■、■■■■■■■■■■■■。■■■■■■■■■僕みたいな人間が生まれるんだ。この意味、分かる?
ってことは、■■■■■■■■■■■■■■■■、■■■■■■■■、■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■。
もう返事はいらない。僕も手紙を送らない。
20XX年3月2日 村野正臣
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