小説 『何が、彼女を殺したか』 (6)
note公式テーマ「#家族の物語」応募作品。ある一人の少女が殺された後、残された遺族たちの再生の物語です。全21回にわたり、お届けします。
▶︎目次
愛の章(後編)
いまから31年前。丸2日続いた陣痛の末、しわくちゃの真っ赤な顔で産声をあげた私の娘は、それからたった6年でその短い生涯を終えてしまった。その娘の名前は真紀。彼女は病気や事故ではなく、村野正臣という男によって殺されたのだった。夏休みが終わって二学期が始まったばかりの、けれどまだ暑い日の夕方に。
あの日─