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小さな尺取り虫

 小鉢に摘んだブルーベリーに、細い細い糸くずが、よく見れば懸命に尺を取っている、小さな尺取り虫である。

 うっかり食べるところであった、これは放してやらなければと、摘まもうとするが、これが糸くずよりも細く短い、ころんとブルーベリーの間に落ちて行方知れず、仕方がないと水に浮かべ、洗って探すが、やはりこれが見つからない、恐らくブルーベリーにくっついて、再び鉢に入ったのだ。

 仕方がないと、食べ始めながら、野いちごなり、木の実なり、虫が付くのは当たり前、つぶさに観察などせずに、口へ放り込んでよく噛んでしまえばいいのである、目に見えない微生物など、水で洗ってもいるのだから――などなど思いつつ、口に放る幾つか目、緑の細い短い糸くず、おお、そこにいたかと指に乗せ、そのまま外へ出してやる。

 いまは一寸も取れぬその体、大きくなったときに再び会おう、と。

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