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【随筆/まくらのそうし】 糊空木

 ノリウツギ、というらしい白い花である。

 このアジサイに似た花は何だろうと思いつつ、季節が過ぎては忘れていたが、ようやく人に聞いたところ、その名が知れた。

 何でも、このノリという単語は伊達でなく、和紙を漉くときの糊になるから、その名がついたということらしい。

 成る程、ネキ(法面)の楮と共に植えられたのかと納得しながら、そう遠くは離れていまい、先人を思う。

 後人の無知もいざ知らず、青の中を見渡せば、人が植えた生活の糧、そればかりがあるようで。

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