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泡のある草の正体

 草に泡のような卵塊を産み付けるカエルがいるという知識があり、それをそのまま放っていれば、春、道端の草に白い泡が付くを見かけては、何とはなしにその知識とつなぎ合わせ、カエルだろうかとぼんやり思う。

 しかし、いま思えば、それはカエルだと告げる知識に、現実が抵抗していたのであって、なぜならその辺りにカエルの姿なく、水もなく、オタマジャクシは生きられない。

 だから白い泡を見ては、カエルだ、ではなく、カエルだろうかと思うのだ。

 それをそのままにしておけば良かったと、この春、調べて後悔をする。

 なぜなら、その正体はカエルではなく、カメムシ、その名もアワフキムシという。

 雨風に強く、断熱保温効果に優れた、素晴らしい住処らしいが、そんなことはどうでもいいと、そう言いたくなるような、その名前、慌てふためくという意味の「泡を吹く」や、痙攣して「泡を吹く」、そんな想像ばかり膨らんで、何とも嫌なことを知ってしまった、そう思わずにはいられない。

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