見出し画像

同級生が作家になった。

去年の4月ごろ。
高専時代の同級生、馬路くんが何故かは知らないが上京してきたので、何人かで飲みに行った。
ちょうど大学を卒業した年だったし、こっちの大学院にでも入ったのかなと想像していた。

歩きながら、なんで東京来たん?と聞くと、
「実は俺、作家の養成所通ってるんよ」
と予想外の回答をもらった。

作家といっても、小説家ではない。
テレビやラジオの番組で案出しや台本を書いたりする、放送作家である。

芸人を政治家とするならば、作家は官僚といったような関係性だ。

そんな仕事に高専の同級生がなろうとしているのだから驚いた。

しかも聞くところによると、実は昔からなりたかったらしい。

これもまた驚いた。

高専というのは少し特殊な環境だ。
普通の高校と違って5年間通う上にクラス替えがない。
学年はクラスではなく学科で5つに分けられてている。

俺と馬路くんは電気電子工学科という学科で、俺が中退するまでの4年間ずっと同じ教室で学んでいた。

だがその4年間で馬路くんが作家になりたいという話は聞いたことがなかったし、それどころかお笑いが好きなことすら俺は知らなかったのである。

俺の方は1年のころから芸人になると周りに吹聴していて、教室でお笑いが好きな一晴という友達とハイスクール漫才に出たり、お笑いの話をよくしていた。
しかし馬路くんがその会話に入ってきたことはない。

同じグループで遊びに行ったり、ノートを写させてもらったことはあったが、2人で遊ぶほどの仲ではなかったのだ。

「知ってたらもっと仲良くなれたのに!」
と思ったが、それと同時に
「もしかして嫌われていたのでは?」
という疑問が浮かんだ。

もしかすると俺が学生時代、虎に座って授業を受けたり校庭で弾けないギターを持ってアカペラで歌っていたのを横目に、「こんな奴は芸人じゃねえ!」と内心思われ続けていたのではなかろうか。

「え、ちなみに俺のことどう思ってたん?」
と、恐る恐る聞いてみた。

馬路くんは
「実はお前が学校辞めて芸人なったの見て、俺もやりたいことやってみよって踏み出せたんよ。ありがとうな。」
と予想外の返答をくれた。

よかった〜。
めっちゃ嬉しかった〜。
それならもっと早く言ってくれたらよかったのに。
どうやら馬路くんは照れ屋さんのようだ。

そんな彼は今年の3月養成所を卒業し、作家の事務所に入った。
特に昔からラジオが好きで、ラジオ番組に携わりたいらしい。

今では既にラジオやテレビ、YouTubeの仕事もちょくちょくしているようだ。
流石に元高専生だけあって優秀である。

「俺かお前、どっちか先に売れっ子になったらコネでどっちか使おうな」
とダサい約束を交わした。

馬路くんの早期出世にはかなり期待が持てる。
平等に見えて俺が有利な約束だ。

最近ではstand.fmでコンビのラジオの始めたので、馬路くんに聴き手と相談役として来てもらっている。

コンビ間の事やネタの事も相談に乗ってくれていて、良い友達に恵まれたと思う。

本当に、嬉しかった話でした。

ラジオの方も是非聴いてください☟

おしまい。







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?