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一四零の庭苑 1巻 完結

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X(旧Twitter)で毎日書いている140文字以内の短い詩たちです。 全1000話の第1巻となります。 マガジンのタイトルの意味は、X(旧Twitter)で140文字内で書いて…
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#散文詩

散文詩「優しい夜」

疲れたと身をベッドに投げ出したい日。 そんな月曜日の夜。 玄関の鍵を開け、一人暮らしの部屋に入る。 疲れた体は束の間、ドアを支えとした。 暫くすると私の好きな香りが漂ってくる。 「ああ」と声が出る。 休日に家事を頑張り、香りも新しくした。 体が解れてくる。 優しい夜に明日も頑張れそうだ。

散文詩「出ない言葉」

よく言うじゃない? そこまで出ているのに……て。 そんな言葉。 意味が違うて? そうかもしれないけれど……。 一言が伝えられないんだ。 自分の頭の中で言葉が回っている。 喉元まで来た言葉は唇が開けないでいる。 もどかしい。 自分は一体どうしたいんだ? の堂々巡り。

散文詩「夕焼け」

今日も夕焼けを見た。 「今日は昨日よりも少し赤かったな」 などと思うのが日課で、そんな日々が私は好きだ。 夕焼けは毎日違う。 これはきっと、私が生まれた日から毎日違うのだと思う。 そんな想像を巡らせる。 それだけで私は幸せだ。 幸せな気持ちになった頃、日が沈んだ。

散文詩「あなたの幸せ」

あなたの幸せはあなたのもので他の誰のものでもないんだよ。 だからさ、あなたの幸せはあなたが見つけたり。 あとね、あなたの幸せはあなたが育てるんだ。 いいかい? それは大切な大切なことなんだ。 誰にもそれを渡してはいけないよ。 最後に、あなたが幸せな顔は最高さ!

散文詩「辛い気持ち」

「辛かったなぁ」と夜空を見上げて僕は言う。 辛いのは現在進行形なのに、今辛い気持ちを過去形にして自分に嘯く。 目頭が熱くなってきて僕は唇を噛みしめる痛いほどに……。 「辛かったなぁ」ともう一度僕は言う。 『辛いなぁ』と今夜中に僕は言うことが出来るだろうか?

散文詩「月を睨みもの申す」

私は満月を睨み付けた。 あの美しい輝きが憎らしかった。 こうも輝くのかと……。 ふと暦を見ると、満月は明後日だった。 「あっ」と声を上げる私、 「そうか、今正に精一杯輝いて満月には更に美しく輝こうとしているのか……」 そんなことを思った。 負けていられない!

散文詩「いい人生」

いい人生を送りたい。 『ハッ! 何だよ、それ』俺は胸の中で言葉を吐き捨てた。 『金、権力、名声?』俺の中で次々と荒く言葉が出て来る。 『そんなもんは地上に人間が居る限り繰り返し自答自問したものだ』そして俺も今その罠に掛かっている。 「いい人生か…」 酒を一杯煽る。

散文詩「つまらない」

つまらない。 椅子に踏ん反り返って机に脚を投げ出す。 天井を仰ぎ見て心に浮かぶ言葉は「つまらない」 暫くして視線は天井を彷徨うがちらりと窓の外を見た。 「ああ、青空か」と、心が反応をした。 「空か」口を突いて言葉が出る。 つまらない日常でも空を仰げば空は青い。

散文詩「朝日」

一人で見た朝日に感動の涙を流した。 君と二人朝日を見た時、いつの間にか互いの手を取り繋いでいた。 そして家族で見た朝日は生涯忘れないと思った。 何に感謝をすればいいのだろう。 自然か、生を受けたことか。 嗚呼、何故だろう……、全てに感謝を叫びたい。 「ありがとう!」

散文詩「裏切られた期待」

期待は苦しい。 期待は心が苦しい。 裏切られた期待は『それ見たことか!』と心に投げつけられて。 大ダメージをくらった心は嘆き悲しみ収拾が付かない。 このオンボロになった心をどうやって慰めてやればいいのか。 今度はそこに神経が集中して心もまた削がれていく。 『助けて』

散文詩「花」

貴方は花だ。 美しい花だ。 君も花だ。 綺麗な花だ。 人はね、花に憧れるんだ。 綺麗だ可憐だ、とね、焦がれるんだ心を寄せる。 その気持ちは花に向けられ。 例えた人に向けられ。 愛を表す。 だから言う。 美しい花と。 花のように美しい人と。

散文詩「人は壊れる」

人はね簡単に壊れるんだ。 『なぜ?』てそれは心があるからさ。 じゃぁ人に心が無ければ壊れないのかって? いいや壊れる。 それは肉体があるからさ。 「どうしたんだい? 俯いて」 しかし気にすることはないのさ。 人とはそういう生きものだから。 それが自然の摂理さ。

散文詩「恋の瞬間」

君に恋した1秒前なんて覚えていないよ。 けれど、君に恋した瞬間は鮮明に覚えているよ。 世界が輝いたなんて恥ずかしくて言えない! 言えないけれど、正直輝いた。 それから上手く言えないんだけれど、世界が蕩けたんだ。 そうだな、空気が澄み渡っていい香りがした気がした。 それから……。

散文詩「恋に」

「落ちたね、恋に」 「その……相手は俺?」 どの口が言うか! とその口の端を引っ張り上げ、その頬を抓ってやりたい。 それでも彼を好きなことに気付いてしまった私。 「言わない」 意地悪をした。 彼の表情が一瞬で曇り、私から目を逸らしそっぽを向いたので。 「そうよ」と付け加えた。