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一四零の庭苑 1巻 完結

1,000
X(旧Twitter)で毎日書いている140文字以内の短い詩たちです。 全1000話の第1巻となります。 マガジンのタイトルの意味は、X(旧Twitter)で140文字内で書いて…
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#140文字内

詩「通りすがりの雨」

雨が行く まるで通りすがりだと言わんばかりの通り雨 たまたま私の心は晴れていなかったから その雨に見蕩れてしまった 雨に見蕩れるなんて それでも私には雨がきらきらと輝いて見えた 窓の外の風景 窓を開けるとぶるっと少し震えて 雨の匂い 風の運び 私の心が落ち着きを取り戻し

詩「風の影になった」

私は風の影になった 私を見る者はもういない 存在しているのか、いないのか そのような影に憧れた けれども風は私を知っている 風の影になってから、幾日か過ぎた 私の意識は吸い込まれるように影に流れ込む 私は風 私は影 「揺らさないで」 私を思う人の温かい手が体に触れた

詩「悲しみの空」

僕の目に映る悲しみの空 僕は泣けばいいのかな それとも作り笑いをするのかな あんなに青い空なのに 僕には悲しみの色が見えるよ 嗚呼、僕に翼があったなら力の限り羽ばたいて側に行くのに 僕は両手を広げて空を抱きしめるんだ そうしたら空には虹が架かるかな 僕の心を伝えに行きたい

詩「君がペンを持ったなら」

君がペンを持ったなら 僕は鼓動を早くして 君が紙を見詰めたなら 僕は自然と笑顔になってしまう 君の真剣な眼差しに 僕は君を夢中で見詰めてしまうよ 君が集中した時の癖 いよいよかな? 待ちきれないよ! 「ねえ君、責任取ってよ」 君のペンが走り出す 新しい物語の初まり

詩「波間」

波間に漂う 僕と陽の光 ゆらゆらと波間 いたずらのように僕の心を揺らす 僕の心は穏やかだけれど 波に逢う度に心揺らし ゆらゆらと漂う きらきらと光る 僕の心に宝石を蒔くように陽の光 僕の心を輝かせて 両手を天に伸ばしたらもっと 否、このまま波に飲まれ沈み行けばきっと 僕の無我の境地

詩「生きてりゃいい」

人間、死ぬまで生きてりゃいい 何も悩むな心配するな そんな心持ちくらいで丁度いい 人間は生きる 生きるは生きもの 人間は死ぬ 死ぬは生きもの そのようなものだから 生きりゃいい 死ぬまで生きりゃいいんだ それがこの世に出て来た運命みたいなものじゃぁないか 生きてりゃいいさ

詩「心というもの」

人には心というものがある 人に心臓がひとつあるように 心もひとつあるようだ 時に辛いと苦しみ 悲しいと泣き 嬉しいと喜び 楽しいと幸せだという だが、時として心が個体のように穴に落ち何処かへ行く 霧に包まれたような、真っ暗な闇のような世界 歪み 生きた心が悲鳴を上げる処

詩「日は贈り物」

ふと気付いたんだ 何気なく送っていた毎日が もしかしたら日という贈り物じゃないかって 毎日が過ぎて行く 日が昇り陽が沈む 僕たちは時間に追われ、いつの間にか夜になる日々を過ごしている 当たり前だけどきっと違う 上手く言えない もっと大切なものなんじゃないか 日は贈り物と思う

詩「人生満足さ」

俺の人生満足さ 死ぬ時ぐらい大見得切って、笑ってやるさ 昨日のことなぞどうでもいいさ 笑って死ねば全て収る そうさ、辛いこと悲しいことは沢山あったさ 少しばかりの幸せ持って 天に昇れば大満足 皆笑え 俺を見送るならば、笑っておくれ 何も残すものなどないさ 長く短い人生だった

詩「目の無い魚と僕」

闇の中を泳ぐ目の無い魚 暗闇に慣れ、ほんの少しの光に照らされて 目の無い魚に目が開き 震える魚 震える僕 魚は僕で僕は魚 開いた目などいらない 光などいらない 僕も魚もそう思う けれども魚は目の無い頃より自由に泳ぎ回り 僕を誘うんだ ほんの少しの勇気だと 僕は泳ぐ 光の戯れ

詩「魂の底擬き」

ここは深海 その静寂 魂の領域 己の真の姿が鎮座する処 故に己以外の気配はなく 只、深く広く遠く果てしない 逃げだそうか 座り直し見詰めようか 己を見詰めるのか、突き詰めるのか 貶めるのか、苦しめるのか 嗚呼、そうではない 只、静かにこの深海に飲み込まれたい 己を忘れる刹那

詩「自分勝手な生きもの」

人はさ、自分勝手な生きものさ あなたを思って そんなことを言う 壮大な勘違いをしていてもそれを通す でも知ると後悔するんだ 誰しも自分勝手な生きものさ 大いなる思い込みを引っさげて生きている それでもある日、気が付くんだ 自分勝手だったと 人はさ、愛おしい生きものさ

詩「とても悲しい日」

寝付けない僕は夜風に当たろうと家を出た ひんやりとした夜の空気 風が通り抜けると何かに触れられたようにビクッとする 人かいない夜の道 僕は夜空や周りの木々を眺めたりした ふと目をやるとブランコが揺れる公園 足が向きベンチに座る そこで『とても悲しい日』君と出会ったんだ

詩「あれが欲しいこれが欲しい」

あれが欲しいこれが欲しい ううん、本当は何もいらないの あれも買いたいこれも買いたい そうじゃないの 私を幸せにしてくれる物が欲しいの それが分からないから 沢山買って沢山捨てた 心は埋まらないから涙が出て ある時、私の心の形とぴったりの物に出会ったの これだ