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一四零の庭苑 1巻 完結

1,000
X(旧Twitter)で毎日書いている140文字以内の短い詩たちです。 全1000話の第1巻となります。 マガジンのタイトルの意味は、X(旧Twitter)で140文字内で書いて…
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2023年2月の記事一覧

詩「筆が止まる」

ふと、動きを止めた 視界が現実に戻る 刹那の空白 頭の中には何も無い 感情も湧き上がらない 古くさい時計の音がカチカチと聞こえる 先程までの筆を走らせる音とは違う 書く音だけが響いていたはずなのに カチカチカチ 少し時間が過ぎた頃 我に返る 一息吐く 書きたいと湧き上がる

詩「夜の帳」

夜の帳をちらりと見てほくそ笑む 我が時間と笑う そんなちっぽけな存在が地に居ることなど無用のように 気が付けば外はどっぷりと暮れている 空を見れば濁ったキャンバスにも星が光り ありがたいことに月明かり さてと窓辺に椅子 酒を嗜むか珈琲を入れるか この細やかな選択を楽しむ 夜の帳

詩「明日によせて」

明日という言葉が嫌いだ 明日という言葉が好きだ 人にとって明日は永遠に来ず 人にとって明日はいつまでも今日にいるから 叶わぬ夢 希望 繋ぐ 苦しみからの解放 悲しみからの脱出 辛いことを乗り越えた先 人は明日に想いを募らせる 明日があるから生きられると言う 明日はきっと……

詩「風が吹くとき」

君に触れる風 風が君に触れて通り過ぎた 良い風だ 君は感じたか 何を受け取った 知っているかい 変わるとき 風が教えてくれる 風が吹くとき それは君が変わるときなんだ それは君が何かを受け取るときなんだ それは君が何かから解き放たれるときなんだ 君は心を落ち着かせて それ掴む

詩「どうしようも出来なかった気持ち」

みんなさ それぞれに思うことがある 起きた出来事がある 怒り 苦しみ 悲しみ 辛さ 人だから 生きているから 自分ではどうしようもないような気持ちになることがある たまたまなんだ 掴めない 消せない そこにある気持ち 頭を抱える 見て見ぬ振り どうしようもない

詩「本」

君はどこにでもいるね 僕の部屋の至る所にいる 手を伸ばせば君に触れる 君に触れるとつい、僕の手の中に 辺りを見回して座れるところを探す、無ければもたれられるところを探す そして君に触れる、頁を開くと 待ってくれ! 少し待って!! お茶の用意だ 落ち着く場所だ 心は高鳴り 冒険の始まり

詩「心とは何だ?」

心とは何だ? 大事なものさ 『大事なもの』 そうさ、大事なものさ人ならば 人だから大事なのか 否、命あるものには大事なものさ ならば、動植物にも大事なものか そうさ 心とは大事なものなのだ 何処にあるのか 分からない 何故? 分からない 誰も知らない 命あるものは皆知らない

詩「泣くところ」

私の泣くところ あのね、それは君の腕の中 辛いことがあっても 悲しいことが起きても ずっとずっと、一人で耐えてきた 君がね、ある日 私を見付けてくれた そんな私を見付けて君の腕の中に 泣いた 泣けた 思いっ切り泣いてしまった 途中から何も考えられなくて でもね、温かかったから

詩「時間とは?」

急げいそげ時間がない 時間に余裕があるじゃないか ハラハラするなあ、時間に間に合った 順調だね、時間通りだ 時間て何だ? どうしてこんなに振り回される 時間よ、今日はじっくり話そうじゃないか 否、ゆっくりしている時間はない 「ん?」 「何だと?」 時間とは、何なんだぁ!

詩「僕のエチュード」

高らかに 清らかに 僕のエチュード 胸の前でクロスした腕を解き放つ 僕は詩を歌う 心のキャンバスの色は薄い灰色 静寂を求める 開かれた腕から指先へ 思いが伝わった 一小節 薄灰色に文字が刻まれる その様は心地良く 二小節 スイング ターンはまだ決めない 僕の世界は歌う 始まり

詩「僕は翼を広げ飛んだ」

晴天 心も晴れる 最高の一日が始まる予感 僕は心を弾ませた 緊張 体の強張りと心臓の音で分かる 僕は翼を大きく広げ、夢に向かって飛んだ そのような気持ち 落下 落ちた 夢の翼が折れた 僕は着地した 周りからの雑音 黙れ 僕はこれから見なければいけない 次に翼を広げるために

詩「単純じゃない」

辛い時には辛く 苦しい時には苦しくて 楽しい時は楽しい あれ、そんなに単純じゃないよ 辛いといっても色々あって それぞれの辛さがあるんだ 苦しい時だったそうさ 楽しい時は 楽しい時は、そうだな、楽しいな! あれ、単純なのかな いいやそうじゃない 見落としがある 単純じゃない

詩「春が恋しくて」

春が恋してく夢を見る 空は水色 小川のせせらぎ ぼんやり出来る温かい日差し 風がひとつ通り過ぎた 春の匂いを運んで行く 蝶が舞い 小鳥が歌い 木々が揺れる 揺れるその木は芽吹きを待つ 人も伸びをして 猫も伸びをして そこらかしこに命の波動 正に生命の季節 春が恋しくて 今は早春

詩「突風」

突風が吹いた 僕の心にも吹いた それは鮮やかなもので 僕の心をこじ開けた 「目にゴミが入ったじゃないか」 ブワッと出て来る涙 「何だよ」 僕は周りに誰も居ないことを確認して 泣いた 無性に泣けた 後ちょっとで声を上げそうになった そこは堪えた 突風が吹いた 僕の心にも吹いた 春が来た