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一四零の庭苑 1巻 完結

1,000
X(旧Twitter)で毎日書いている140文字以内の短い詩たちです。 全1000話の第1巻となります。 マガジンのタイトルの意味は、X(旧Twitter)で140文字内で書いて…
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2021年5月の記事一覧

詩「詩人」

詩人は何を見ているの? 詩人は何が聞こえているの? 詩人の五感は何を感じたの? 『ねえ知りたいの』 すると貴方は答えたわ 「詩人とは欲張りなんだ」 私はどういう意味からしら? と目をぱちくりしながらも沈黙 貴方は微笑みを浮かべるだけだった 詩人とはそういう生き者なのね

詩「立夏」

新緑に 浮き足立つ心と体 ステップを踏もうか 歌おうか それともあの子の手を取ろうか それは少し恥ずかしいな きっとあの子も照れるだろう 風が新しい芽吹きの匂いを運び 蝶々がひらひらと舞う 鳥たちが歌えば猫たちも歌う 散歩の途中の犬は尾を千切れそうなくらい振っていた 立夏

詩「泣けて」

徹夜明けに朝日を見た 私は号泣した 突然の出来事だった 止めどなく溢れる涙に まさになすすべなしとはこのことだった 何が…… 辛いのか 悲しいのか それとも…… 切ないのか わからない 一通り声を上げるとさめざめと泣く 今はただ、私は泣けばいいのか…… 朝日が妙に眩しい

詩「奪うもの」

ねえ……私、星空を見上げているの 首が痛くなるくらいにさ ずっとずっと顔を上げて 泣いてなんかいない!目から零れるものなんて知らない ただね、知らないけれど、ね? 頭の中がぐしゃぐしゃで顔もくしゃくしゃで みっともないて分かっているの 貴方の温もりがもうすぐ消える 病

詩「悔しくて」

夕日を見て歯を食い縛る あの茜色に焼ける空を見て拳を握り込む 悔しい ただ、ただ、ただ 悔しいんだ 今日の…… 負けも失敗も後悔も 全部!! 止めてくれ! まだ…… 僕は受け止め切れやしないんだ 瞬きなんかするものか! 僕は泣けやしない 目前の無二の夕日が沈みゆく

詩「走れ」

走れ、走れ走れ走れ! 大声を張り上げて 走れ! 君の側を通過する人も景色もどうだっていい 走れ! なり振り構うな走るんだ 走れ、走れ走れ走れ! 君の瞳が輝けばほら 君が手を伸ばせば掴めるんだ 走れ! 走りきるんだ今を 走れ、走れ走れ走れ! 今それを掴むのはその手だ

詩「筆と私」

一文字紙の上に落とす 真っ白な草原に足跡を付けた 私は筆と共に草原を歩き出した 筆と私のコンビはまた文字を落とす 今度は文章となった 文章は花を咲かせた 大空を青く染め雲を泳がせた 雲がスイスイ泳ぐように風を吹かせた 小鳥が歌い始めた いつの間にか道が出来た 進もうか

詩「翼がほしい」

翼がほしいと多くの人たちが言う 祈る、願う それは憧れ 翼がほしい けれども人に鳥たちのような翼はない 人は…… 焦がれて涙する日もある 張り裂けんばかりの大声を上げる時もある 自由の象徴のように言う時もある 翼がほしい 見えない翼でいいんだ 心に翼をください

詩「春」

春が吹く 私の住むこの街に吹く 花の色づきは匂いも奏で 暖かい風は人の足取りをほんの少し軽くした 春が吹き 猫たちは恋をした 人たちは大きく深呼吸をして 新しい一歩を踏み出した 春とはそんな季節 春が吹く 大きな青い空の下で思う きっと貴方の街にも…… 春は吹き抜け駆けて行く

詩「愛について」

愛について狂おしい程に考えて感じて 自分の中の熱い炎にやかれて我が身をよじり抱きしめる 鏡に映るそれは見ない どんな姿が映っているのか想像だに恐ろしく耐え難い 心の深海では己のそれを知っている 愛について人は一人分の答えを持っている

詩「失恋……」

窓辺にそっと佇んで 夜の風をひやりと感じて 『センチメンタルだね』と……心で言って 涙を逸らす 泣きたい訳じゃないの 泣きたくはないの 『失恋……』したから そんなこと…… そんな理由はいらない! 色々な沢山の言い訳が心を巡る 私の涙は熱く 夜を深く感じ星空は遠かった

詩「人生」

あっちにふらふら こっちに…… 道草寄り道回り道 上機嫌でスキップをして 胸を張って堂々歩き たまに肩を萎ませて俯き足取りは進まない 「人生てこんなもの?」 大袈裟に思って たまに軽く鼻歌歌って 喜怒哀楽が降り懸かり あんなこんなの繰り返し 人生とは? まあ今日も行こうか

詩「歩く」

歩いてみようか そこまで 歩いてみようか あそこまで 歩いてみようか もう少し先に行ってみよう 人生てこんな感じかなと思った

詩「歩み」

歩みを止めた 僕はその場に座り込んで泣いた 声を上げた 嗚咽を漏らした 両の拳で地面を叩いた 立ち上がれないと思った 目の前に影が落ちた 影が落ちて君が手を差し伸べた 僕はその手を掴み、嗚咽を漏らしながらも立ち上がった 半歩 そして半歩 また半歩 小さな歩みを僕は進めた