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サイエンスとビジネスのせめぎ合い

企業で研究・開発をしたことがある人であれば、この手の経験をされている人は多いのではないかなと思う。そもそも仕事の進め方が全く違い過ぎてるとは思います。

それを赤裸々に書かれていて、頷きながら読んでしまった記事がこれ。

世界で初めてユーグレナ(ミドリムシ)の食用屋外大量培養に成功したバイオベンチャー、ユーグレナ社。研究開発の中心となっているのが、創業メンバーでもある鈴木健吾氏だ。東京大学在学中に同社を起業し、東証1部への上場を果たした。鈴木氏が、次世代の起業家や研究者にアドバイスする。

これな!

サイエンスの世界での研究は、何が正解なのか分からない状態から仮説検証のサイクルを続ける行為で成り立っている。答えが分からない以上、精緻なプランニングなどしようがない。

研究者に与えられた使命は「できるだけ最短で真理にたどり着くこと」だけである。

そうこれなんですよね、これ。

分からないから、理解するために研究しているような場合は特にそうで、やれば分かるということでもなく、半年後までに答えを出してくださいと言われても分からないまま終わる場合もあれば、ある一定の結果を出せるときもある。

そう、さぼっているわけではなく、色々な文献を読んで、あーでもないこーでもないと頭を悩ませながら研究を1㎜でも進めようと頑張っているのが研究員です。(そうでない研究員も居ないわけではない、ただ乗りするひと、批判だけする人、最高に非協力的な人なども一定数はいます。)

さて、ここまでが研究者目線ですが、製薬企業や研究開発型ベンチャーであれば、サイエンスをビジネスに繋げていくという物凄いことをやっています。

最悪!と思ったはず、、、

例えば、2005年夏に石垣島に培養実験用のプールを借りることができ、「いよいよ研究のスタートラインに立てた」と思ったタイミングで、彼らがせっせと営業担当の採用を始めたからだ。そして東京の事務所で顔を合わせるたびに「工程表からすると、そろそろ量産体制に入れる時期ではないか」と聞かれるのである。

これ研究者だったら、恐怖だと思う。。。

始めたら形になると思う経営者としては、うまく行くとして話を進めているだけかもしれないが、これされたら心が病むかも。。。

経営者視点だと、投資家に対していついつまでにここまで進むからお金がこれだけ掛かるとか、投資回収が何時頃になりそうだとか話しているのだとス足すると、スケジュールに対しては非常にシビアなのだと思う。

経営者と研究者の間の溝は、昔から埋まっていないのだと思う。

そして、鈴木さんのアドバイス

研究開発をするときは小さなプロセス、小さな検証、小さな開発を同時にいくつも行うという発想が重要である。具体的に何をすべきかはロジックツリーで整理する。特にボトルネックになりそうなプロセスや、その代替として使えそうな技術などがあれば、事前にリストアップして先に小規模な実験を進めておく。すると、大規模な実験に進んでからの後戻りが減り、結果的に最短で研究を進めることができる。 ​

確かに、これしかないかも、と思う。

研究でも、私がやっているような仕事でもそうですが、可能な限り「手戻り」が無いように、進め方を考えて置く必要があります。

あまりにも、未知の部分が多すぎる場合は、かなり大変になりますが。。。


ちょっと余談になりますが、日本の研究力を底上げに大切なことの一つに研究の多様性を再び取り戻すことだと私は考えています。現状、産業に繋がるような研究に多くの研究費が付けられ、そうした研究以外は放って置かれています。そうなると、多くの研究者は、研究費が多い分野に移るので、研究の多様性が狭まり、研究力の低下に拍車をかけていまいます。

企業の視線であれば、こうした集中は良いと思うものの、研究力を高めるといった視点では、逆に色々なことを研究していくことが必要だと思っています。費用対効果はビジネス面での指標としては良いと思うものの、研究力という面では違う指標が必要で、その議論がもっともっとあるといいなと。

話がそれましたが、企業内にあってもビジネスと研究のバランスを取るというのは非常に大切な視点だと感じました。どちらかに偏ってしまうと、企業内文化に多大な影響を与えてしまう懸念や逆に稼げない企業になってしまいます。

ビジネスパーソンと研究者の両者が、しっかりと考えを伝えあうという文化がある企業には未来があるのだろうなと感じずにはいられません。

#日経COMEMO #NIKKEI #研究者 #ビジネスパーソン #感覚のズレ #乗り越えるには #ユーグレナ

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