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騒々しい朝


朝ごはんを食べていると娘が言いました。

今日はよく晴れてるねぇ。
騒々しい朝だねぇ。

騒々しい??
清々しいの間違いでは?
皆がそう感じただろう。

ねぇ、それって清々しいじゃない?
そう言うと
「そういう意味じゃないの。騒々しいってのは天気が良すぎて日差しが眩しいでしょ。そういうのを騒々しいと言ったのよ」
あくまで、彼女はそう貫き通したのです。だからみんなもふ~んと頷くより他ありません。

思えば「目にうるさい」という言葉を使うこともありますから、日差しが目にうるさい=騒々しい。
これもまたアリなのかもしれません。

彼女にしては珍しくうんうん唸りながら朝ごはんを食べていました。食べることは嫌いではありませんが好きでもありません。すぐにお腹がいっぱいになるらしく、うんうん唸りながら食べることも完食することも最早珍しく何が彼女をそうさせるのか?
騒々しい朝のせいか?
考えてみてもイマイチわかりませんね。

カブの味噌汁を大根だと思い込み
「この大根、めちゃウマ!」と唸りながら食べてくれましたがそれはカブです。言いたかったけど言えなかった。あまりに美味しそうに食べてくれるから、これは大根じゃなくてカブなのよ?味も違うでしょ?と言えなかった。言ったら何かが壊れてしまう気がして。

チキンナゲットを食べているときも
「うん、この唐揚げ美味しい!」って食べてくれていたけど、それはチキンナゲットなの。
そんな平たい唐揚げは多分出したことないのに。

今この場で食事を共にした家族みんなが思っていることだけは同じはず。
「違わない?」と。

「唐揚げはポン酢につけて食べるのがウマウマよね!」って言いたいことはわかるの。でも、それはチキンナゲットなの。チキンナゲットにつけても美味しんだよ!って言われたらそれはそうかもしれないけど、そこまで食べて何故チキンナゲットだってわからないの?
言うべきか言わないべきか悩んで、、、言わなかった。言えなかった。
勘違いしてるよなんて。

美味しい!って食べてくれただけで嬉しかったから。

私の心は騒々しいままです。


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