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今日の日の私の幸せ

私は本棚を持っている。もう当分読まないであろう本も今からまだ読んでもいない本と一緒にそこにある。

別段立派でもない物置のように本を積んだだけのその本棚を私は大切にしている。
読まない本は捨ててしまえばいいと誰かが言った。
ミニマリストの定義で言えばもう読まないのなら売るなり捨てるなりすべきだし、そうやっていつまでも使わないものを置いておくのはよろしくない。
なんなら電子書籍にでもすればよいし、もう読まないとわかっている本をいつまでも置いておくのは、さながら痩せてから着ると言ってしまったままのいつ買ったか思い出せない高い服くらい、場所を取り心を奪い、捨てることもままならない産物となっているのだろうけど、私は捨てないのだ。捨てられないのではなく捨てない。

本は読むためにある。だから読める限り役割は終わっていない。
そして読まない本もいつか読みたくなる日のためにそこにいるのだ。

私が欲しいのはがらんとした世界ではなくて、欲しいと思うとき、もう一度手にしたいと思ったその日のためにそこにある自由を求めているのかもしれない。

いつだってどこにいてもああ、あの本棚にあの本があったな、と思い出して手に取れる自由が大切なのだ。と乱雑な本棚をみて今日も想う。
私の自由がここにある。それだけで、今日の日の私も幸せなのだとわかる気がするから。

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