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【武術】四股を踏む【太極拳】

最近は足腰のために四股を踏むようになりました。といっても、アパートの床なので、静かに踏みます。

四股というと、四股立ちから、片足を挙げて、降ろせばいいと思っている人が多いと思います。私もそうでした。しかし、色々調べてみると、四股の踏み方にも歴史があり、踏み方によって効果が違ってきます。

まず、四股立ちはこんな感じです。


特に難しいところはないのですが、柔軟性が無いと腰が下げられません。ストレッチにもなりますので、気長に伸ばしてください。

ここから重心を片方へ寄せます。「足裏全体」、もしくは「かかと」に乗るようにします。ここで注意なのが、奉納などの場面で横綱が四股を踏むときは、立ち上がりながら足を寄せてしまいます。

これは美しいのですが、鍛錬になりません。股関節から重心が逃げてしまうので、とても立ち上がりやすくなってしまいます。

足を寄せずに、重心だけを片足に移したとき、足を上げる前に、「股関節」が「かかと」の上に載るようにします。そうすると足を上げやすくなります。上げる方の足は、少し地面を蹴るような意識でも大丈夫です。これは外三合を一致させる太極拳的な動きでもあります。まだ、ひざは曲がったままです。

そこから片足に乗って、反対の足を上げます。まだ軸足の膝は曲がったままです。


しっかり片足に乗ってから軸足を伸ばしていきます。ここで、しっかり股関節に乗れていると、太ももから股関節に力がかかるのを実感できます。重心が抜けていると、バランスが崩れてぐらぐらしてしまいます。


顔は、イラストのように、足元を見ます。いろんな四股の動画を見たり、解説を調べたところ、ボディワーク的、身体鍛練的に四股を踏んでいる人たちは正面を見ながら四股を踏んでいます。しかし、相撲では足元を見ます。体感的にも下を向いた方が安定するし、体の動きとしても体幹の角度から考えて理にかなっていると思われます。

軸足を伸ばした時に、足の裏が上を向くイラストのようなやり方は昭和に入ってからの方法です。明治時代の動画では、足踏み式の四股で、単にがに股で膝を上げて地面を踏みつけるような四股でした。大正時代の動画でも同じ感じで、昭和のあたりから足を上げる現代風の四股に変わっていきます。

まず、足の裏が不浄なので、見せないという思想があったようです。また、四股は大地の邪を払う儀式でもあるので、踏みつける意識が強かったのかもしれません。

ただ、その四股の踏み方だと、股関節や体幹のトレーニングとしては目立った効果がありませんでした。昭和式の四股は体幹や股関節にとても良いし、今ではすべての力士がその踏み方をしているので、それでいいと思います。

最初は無理に上げなくてもいいです。軸足の「かかと」と「股関節」に重心が乗っていることを感じられることが大切です。そして、片足を上げるときはまだ軸足の膝が曲がっていて、足を上げてバランスが取れてから軸足を伸ばすということです。

踏みつける力は弱くても構いません。強く踏み下ろすことにも、重心を下げる意味があるのですが、アパートやマンションで騒音が気になる人は静かに降ろしましょう。強く踏み下ろすのは、いわゆる沈墜勁です。重心を落とす方法を体に覚え込ませる効果があります。静かに下すのは暗勁の力の使い方です。

簡単に書くと、暗勁というのは、明勁と異なって、筋肉の伸び縮みの運動で打つのではなく、急激にブレーキをかけることで、筋肉の長さが変わらない、腕の振りや足の振りの運動で力を出すのではなく、体の内部で発生した運動量を相手に伝える方法です。つまり、四股で上げた足を静かに下すには、落ちようとする運動にブレーキをかけることになります。これが暗勁の身体の使い方の練習になります。

最後に一つ注意なのが、白鵬の土俵入りを見ると、奉納ではなくても足を寄せています。さっき書いたように、足を上げやすくしていると思われてしまいますが、実は上げる直前に一旦沈み込んでいます。つまり、足を寄せるけれど、上げる直前に重心を「かかと」と「股関節」に乗せ直して、それから片足で持ち上げているということで、やっていることは足を寄せない四股と同じです。ただ、白鵬のような大横綱なら身体能力も高いので、それでいいと思いますが、どうしても重心が逃げやすくなるので、最初は足を寄せずにその場から蹴って上げる方法で練習するのが良いと思います。そのしんどさも鍛練です。

場所中の動画が無かったので、白鵬の土俵入りをリンクしておきます。2回目の足上げのところが、しっかり腰を落としなおしているのが分かりやすいです。

おわり


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