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【読書メモ】書く力(池上彰、竹内政明)【#71】

池上彰さんと、読売新聞の1面に15年間コラム「編集手帳」を書き続けている竹内政明さんの対談です。

役に立ちそうなところをメモしました。

・起承転結のような構成の仕方に頭を悩ませる以前に、とにかく「書くべきテーマ」を明確にする。テーマと自分をつなぐ「ブリッジ」が必ずある。まずはそれを見つける。

・随筆風の文章だと最初からオチを決めておいた方が収まりの良い原稿が書けるかもしれないが、解説コラムだとまず書き出しを決める。

・まず「書くべき要素」を書き出してしまう。全体の構成は、自分で書き出したその要素を眺めたり、何度も読み返したりしながら、全体の流れが通るようにしていく。

・頭から書き始めて、そのまま書き終えたものが、人様に読んでもらえるような文章になっているなんてことは、期待してはいけない。考えたことのすべてを文章に使うことはない。最初に自分の書いたものを、とにかく半分にしてみる。少なくとも3分の2に削ってみる。最初に書いた文章よりも、ずっと引き締まっている。毎日文章を書いては削り書いては削りを繰り返しているうちに、だんだん「余計な贅肉」が見えてくる。

・読者を惹きつける書き出し、読者に予想させない展開、書き出しと結びつけたオチ。

かっこいいブリッジをかける練習
新聞のコラムの冒頭を読む。冒頭を読んだときに、「あ、これはあの事件についての話で、結論はこうだな」と先の展開を予想してみる。

思考に奥行きを持たせるトレーニング方法
「すごく悪いことをした犯人の弁護士になったら、自分はどうするか」という思考実験をする。

メインストーリーを書き終えたところで、ほんの少しだけ蛇足を入れる。それが余韻を生んで、これまで書いてきた話が読者の心にいっそう沁みるようになる。

誰に読んでもらうかを意識する。読者を意識できるようになると、失言や筆が滑ることも減る。

好きな言葉や好きな表現は、あまり使ってはいけない。もっと良い表現があるかもしれないのに、収まりの良さで選んでしまうのは「手抜き」である。

褒める時も、批判する時も、書き手の感情を前面に押し出してしまうと、読者が引いてしまう。こちらからガソリンをまいて火を大きくしようとすると、読者は火を消しに来る。こちらが火種をそっと差し出せば、読者がガソリンをまいてくれる。

名文を書き写す
丸暗記するわけではない。あくまで、「リズムをつかむ」というか、自分の体にリズムを馴染ませるために書き写す。書き写す作業は、リズムの獲得だけではなく、「言い回し」の引き出しを増やすのにも役立つ。

以上、一般的な文章指南術というよりは、読んでいると何か書きたくなるような内容でした。小学生や中学生の頃に、朝日新聞の「天声人語」をまとめる練習を随分やらされた記憶がありますが、その後は新聞のコラムを読むこともなく、今では記事をネットで検索して終わり。事実だけ知れればいいやという生活をしてしまっていますが、読売新聞の「編集手帳」は読んでみたくなりました。

お二人が同じように言っていたので、やっぱり名文を書き写すのって大事なんですね。英語では少しやっていたこともありましたが、日本語は全くやっていませんでした。というか、時間かかるので英語もすぐにやめてしまっていましたが、効率ばかり追い求めずに、目の前のこととじっくりと向き合うことも必要だなと反省しました。

おわり


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