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【無料】心経を整える動功【第2回】

はじめに

5回に分けて動功を紹介しています。今回は第2回の心経を整える動功です。それぞれ別の記事になっているので、ポイントと五行の該当部分だけは重複して記載しています。理屈はわかってるよって人は動功の動画ところまで飛ばしてください。

前回の記事はこちらです。

静功と動功の違い

他の流派ではどういう区別になっているのか分かりませんが、私が練習している気功では、動く気功、動功は心や神経に効果が高くて、静かに立つ静功、站椿功は体を強くする効果が高いと言われています。今まで紹介してきた馬歩站椿は弱い身体を全体的に強くしてくれます。地道に練習すれば、身体が強くなりますし、気も溜まります。十分な気が溜まると免疫力も上がりますし、体力も付いてきます。立っているだけなのに足腰が鍛えられているので、階段の上り下りが楽になったり、荷物を持つ時に、あれ軽く感じる?ということも起きます。男性機能を高める気功の中で紹介した站椿功も静功ですので、弱っている生命力、精力を高めてくれる効果が高いです。もちろん、動く運動、スクワットでも筋力がついて、陰茎に血液を保持する効果が得られます。下半身の血流も良くなります。しかし、站椿功では、足腰を鍛えることに加えて、気も溜まりますので、元気になるだけではなくて生命力自体が高まるのを感じることができると思います。ただ、強くはなるのですが、足はしんどいし、時間はかかるし、ハイリターンなのですが、ハイコストでもあります。取り組むハードルが高くかんじます。

一方で、今回から紹介する動功は、例えば、気持ちが沈んでいる時や、ストレスで体調が悪い時にちょうど良い気功です。

・ちょっとだるいなあ
・いまいち元気が出ないなあ
・長く立つのはしんどいなあ
・1〜2分なら時間があるなあ
・ちょっと気の流れを整えたいなあ
・深呼吸するかなあ
・気の流れが滞ってる気がするな
・これからやらないといけないことがあるなあ
・立ち上がったけど、面倒だなあ

という時に、ささっとできて、身体を整えることができるのがメリットです。ローコスト・ハイリターンだと思います。デメリットを挙げるとすれば、長く続けて、身体を鍛えたいというのには向かないことです。デメリットと言いますか、効率が悪いということです。もちろん続ければ気も養えますし、血流も良くなるので健康になります。でも、強くしたい場合は、同じ15分、30分を使うのなら站椿功をした方がいいです。動功は、ちょっと気分転換したいな、站椿功をする前にちょっと身体をほぐしておきたいな、軽く身体を整えたいなという時にオススメです。

動功の種類

今回紹介する動功は全部で5種類あります。陰陽五行に対応しているので肝心脾肺腎に対応しています。肝経、心経、脾経、肺経、腎経の気の流れに対応して流れを良くしてくれると考えてください。ただ、肝経の動功をしたからといって、肝経しか整わない、肝経の気しか流れない、肝経しか活性化しない、というわけではないです。それぞれが陰陽五行に対応しているので、相生相剋の関係があります。肝経が整えば、心経の助けになりますし、脾経が活性化し過ぎているときは、肝経を整えて抑えることもできます。

陰陽五行

初心者の人もいると思いますので、簡単に五行について解説しておきます。この肝心脾肺腎というのは、同じ字を使っていますが、今の肝臓、心臓、脾臓、肺、腎臓とは少し違います。細かい話になっているので、既に知っている人や、面倒な人は各論を飛び越して「五臓の異常時のサイン」まで進んでください。今回は前回の重複になりますので、心のところだけ載せておきます。全部読みたい人は前回の記事を参照してください。

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「心」は五臓六腑の大主で、生命活動を主宰し、最も重要な臓器です。血液を循環させて、中枢神経の機能活動を管理していると考えられます。「心は神を蔵す」と言って、心が神を通じて、五臓六腑を統率し、意識と精神活動を 受け持つとされています。この神というのは精神とか、漢字は使われているのですが意味が分かりにくいと思います。心と何が違うのか。「神」というのは、広く言えば「全ての生理活動を主宰して、それを表現するもの」です。狭い意味としては、精神思惟活動を主宰するものです。

広い意味での神は、精神・知覚・活動などの、全ての生理活動をの中心となって働いて、それを物質世界に表現するものです。生命体というのはただの物質ではなく、それを働かせて活動できる状態にしていることが、生命という存在になります。神が無くなると生命は死に至ります。また、心は大脳新皮質を主とした、高次神経系の機能も有します。心を神に通じる統率者としたのは、心臓が最も重要な臓器であると考えたからだと思われます。

思惟活動を行う上で、身体が影響を受けて胸がドキドキします。そのため、心臓の拍動によって血液を循環させて、脈の働きを主ります。血液は血管を絶え間なく運行していて、運行は「心の陽気」と、脈の働きの双方の力で行われていると考えられています。

心の機能に異常が生じると、血液の循環に変化をきたし、脈や心拍数にも異常が現れます。また、顔色または発汗や舌の変化(異常)にも現れます。

西洋医学では、心臓、循環器系と、大脳新皮質は別物となっていますが、東洋医学においては、両方の作用を兼ねています。心臓、循環器系と大脳新皮質、すなわち血脈と神(精神)には密接な機能があって、心気の機能が正常であれば、心の気血が充実し、思惟活動が活発になり、元気が横溢すると考えられます。

五臓の異常時のサイン

肝:怒りっぽくなる・筋が痙攣しやすい・目の異常・精神の不安定
心:汗をよくかく・舌の先端が赤い・過剰に喜ぶ・不眠
脾:手足が黄色くなる・出血しやすい・食欲異常・よだれをよくたらす
肺:世を憂いたり悲しみやすい・色白になり皮膚病になりやすい・涙や咳が出る
腎:老化現象全般・頻尿・集中力の低下・驚いたり恐れたりしやすい

心経を整える動功

動画の解説

この動功は5つの中で一番動きが難しいので、動画と解説を見ながらゆっくりと取り組んでみてください。動きが少し違うからといって体に悪い影響が出ることはありません。動画を見ながら何度も繰り返して、スムーズに動けるようにやってみてください。

まず、お腹の前にボールを抱えているイメージからスタートします。息を吸いながらボールを持ち上げるようにイメージして、両手を胸の前まで上げてきます。このとき、お腹の前では下からすくい上げているようなイメージですが、そのまま上げると腕が苦しくなるので、胸の前に来るときには腕を回転させて気のボールを両側から掴んでいるような形になります。

息を吐きながら、両手を左右に分けて、斜め下に向かって肘を中心にして腕を回すように動かします。このときに若干膝を曲げて姿勢を低くします。イメージとしては、でっかいバランスボールの下を撫でるような感じで、スムーズに、なめらかに、斜め下へ動かします。あまり前過ぎず、横から見た動画は45度くらいですが、もっとお腹に近いところでも大丈夫です。腕をスムーズに動かすのがメインなので、手のイメージは特に持たなくてもいいのですが、イメージが無いとやりにくい、力が入ってしまうという人は、胸の前で両側から支えていた気のボールが左右の手で2つに分けて下へ持っていくというような感じでやってみてください。繰り返しますが、無理な力みが無ければ手のイメージはなくても大丈夫です。腕をスムーズに動かす方を意識してください。

左右に分けた手が近づいて、最初のお腹の前でボール抱える形に戻ります。この時はまだ膝が曲がった状態です。ここまでが息を吐きながらの動きです。手がお腹の前に戻ったら、息を吸いながら2回目の動作に入っていきます。2回目からは、息を吸いながら膝を伸ばす、伸び上がる動きがプラスされます。

全ての動功に共通するのは、体が伸びる時に息を吸う、体が縮むときに息を吐くという方法です。太極拳では武術的な練習と気功的な練習では呼吸法が変わりますし、癌に効果があるとされている郭林気功なんかではこのルールではなくて、特殊な呼吸方法を使います。呼吸は気功の効果にとても影響しますので、それぞれの流派の、その動きに合った呼吸を使ってください。独学をしていてよく分からないとき、うまく出来ないときは、無理に力んで呼吸をコントロールしないで、自然呼吸で行ってください。効果は落ちますが、副作用(気功では偏差(へんさ)と呼びます)が起きにくくなります。

この動功も5回〜10回くらい行えば十分です。もちろん、気持ちよくできる人は、もっと繰り返しても大丈夫です。

経絡から見た解説

心経

絵を見ていただくとわかるのですが、心経は腕の内側を走っています。経絡は肺経から始まります。人というのは、まず外から取り込んだ食べ物を胃で消化して、気に変えます。その気を全身に運ぶので、肺経は胃袋辺りから始まって肺や気管、咽喉を巡ってから雲門(鎖骨と脇の間くらいにあるツボ)辺りで体表に出てきて、腕の外側を通って親指に向かって流れています。

肺経の流れが悪くなると、咳などの呼吸器系の症状が出たり、呼吸量が少なくなって胸が塞がってきて、気が小さくなってきます。気が塞がるので「うつ」的な気分にもなります。

経絡の流れは、手の太陰肺経 → 手の陽明大腸経 → 足の陽明胃経 → 足の太陰脾経 → 手の少陰心経という順番で進んで心経に至ります。

心経は、心臓から出て、絵に描かれている脇の下の極泉から、腕の内側を通って小指に流れます。心臓やこころを安定させる経穴として、手首の内側に神門があります。掌の小指側の膨らみ(小指球)の下の骨の下で、スジの横(小指側)にあります。心経を整える動功では、胸の前から腕を下へ動かしたとき、お腹の前でボールを抱える形になるときに、手首をまっすぐ(少し親指側へ曲げたところ)から、小指側(内側)へ折れ曲げる動きをしているのが分かると思います。ほんの少しです。この時に、小指側を通っている心経に刺激が入って効果が得られると言われています。

ですので、この動功をするときは、胸の前でボールを持っている形から、肘を中心としてスムーズに腕を回転させて、お腹の前でボールを抱える形に移行するのがコツになります。前回と同様に、心経の経絡に細いチューブが通っているイメージを持って、そのチューブが手首ところで急角度で折れ曲がらない、つぶれないように意識すると、自然な動きになります。ぜひイメージを試してみてください。

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