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男子大学生のかまくらさんぽ②

お久しぶりです。くろくるくられです。

この鎌倉散歩を書くにあたって、
ネタは結構たくさん思いつくんですよね。
漫画家志望だっただけあって、
感受性は豊かな方なので(そのはず)。
ところが、
退屈に呼ぶ退屈を感じる人が多いこの自粛期間、
私一度たりとも暇だなあと感じたことがありません。
別に忙しいわけでは無いはずなのですが
…大学生にもなると、やれることが増えて
色んなことを調べたり手を出したりしてると、
時間はあっという間にすぎて行くものですね

はてさて、前置きが長くなりました。
今日の鎌倉散歩、舞台は私の勤務先、
とある家電量販店でのお話です…


 『古都に住む西洋人』


鎌倉市民なら誰しも頷く、鎌倉あるあるなのですが…
多いときは週に2、3回、こんな放送が流れます。

「こちらは…防災…鎌倉です…
本日…14時ごろ…鎌倉市…〇〇にお住みの…
●●□□さん…八十何歳が…
行方不明になっております…」

これはもしや古都あるあるなのでしょうか、
それは分かりませんが。
この鎌倉には、
比較的お年の召された方々が多く住んでおり、
それ故に
ゆったりとした空気が流れているでしょうか…。

ですから、家電量販店に訪れるお客さんの中には
こんな方もいらっしゃいます。

「お兄ちゃん、
これ三十年前に買った髭剃りなんだけど。
替え刃あるかな。」
(…いや…ねえよ…)

とか…笑。
新しい商品を紹介しても、
ちょっと微妙な顔をされてしまったりします。
けれどもそういうのを含めて、
僕はこの仕事が大好きです。
お客様に、商品について説明をし、理解してもらい、
喜んでその商品を買って頂く。

まだまだ社会に出たことのない幼い私にとって、
そういった本来の商売のあるべき姿を学ぶことは
とても良い刺激になります。

まあ、私の話は置いておいて…

最近はエアコンがよく売れます。
家電担当の私ですが、
この季節はエアコンコーナーにいる事が
多かったりします。
夏目前という事もあり、
土日にはエアコンの契約待ちが30分を超える事も。
あれは火曜日だったでしょうか…
昼下がりで客足も減り、
そろそろ昼休憩かな…なんて思っていたタイミングで
背の高いヨレヨレのシャツを着た男の人が
レジで計算をしていた私に声をかけます。

「アノ ”エアーコン” 。欲シイノデスガ…?」
「え…?」

人とお話するのが大好きで
お客様は神様だ!な私ですら
聞き返してしまいました。
その大男の顔をよく見ると
…なんと…めちゃくちゃかっこいい、
西洋人ではありませんか!!
にしても…なんてわかりやすい外国人なんだ!!
喋り方が…漫画みてえに外国人やないかい…!!

「アノ ”エアーコン” 、買イタイデス」
「あ、えと、少々お待ちください…うぇ、」

お客様に失礼があってはいけません…!
出せる限りの全ての英語のボキャブラリーを出した、
私の口から出て来たのは…

”Wait a minutes…!” (直訳:チョットマッテテ…!)

「ahaha…!日本語、ダイジョブデスヨ?」
「お…sorry、じゃない、申し訳ございません///
…あはは」

後から店長に聞くと、この家電量販店
鎌倉中心部あたりに住んでいる
日本の古都に憧れを持った外国人が来たりするそうで。

早速私は、エアコンの相談に乗ります。

「ワタシ、日本家屋ニ住ンデルデス。
ダカラこのエアーコンの”カラーバリエーション”
スゴクイイです。」
「本当ですか!!ありがとうございます!」
(カラーバリエーションのイントネーション…かっこよすぎやろ…)
「…チャイロ、在庫アリマスカ?」

外人さんは、
ダイキンの見た目にこだわった
かわいい着色のされたエアコンをご所望の様です。
契約は潤滑に進んでいきます。
面白いのがですね、日本人って
やっぱり指示待ち人間なんだな、と。

日本人のお客様は
基本情報は尋ねないと答えてくれないし、
記名して欲しいところは
案内しないと書いてもらえません。
あくまで日本人のお客様は
私たち店員をただの売り手として捉えているのでしょうか。
個人的な話は、あまりしません。
(お客様にもよりますが…笑)
ところがこのお客様は違います。

「ワタシ、一軒家の一階に友人と住ンデルンデス。夏場は去年マデハ隣の部屋の
 エアーコンの冷タイ風ヲ、ワタシの部屋までトドケテタンデスケド…
 最近テレワークにナッテ、今年はそれじゃあ厳シイカナ…なんてね。ahaha」

私人と話すのは大好きですし、
何か理由があってこの国を好きになって
遠路遥々この国に住むこの方に
私はとても惹かれてしまい…
お話に聞き入ってしまいます。

と、いっても、あまりゆったりはできません。
繁盛期ですから。

そんなこんなで、取引とお会計を終え…

「アリガトゴザイマス。
…オ兄サン、新しい方デスカ…?」
「あはは、そうなんです、最近勤めはじめまして、」
「ワタシ、よくこのお店クルンデス。
ですから、マタよろしくオネガイシマス」
「はい、こちらこそ…!お待ちしております!」

そう言って、彼は大きな手に
契約書類の入った小さな封筒を持ち
お店を後にします。

その契約後すぐ、店内は慌ただしくなり…
気づいたら退勤時間…、
私は暗い帰路をいつものように進みます

(鎌倉在住の外人さんかあ…。
テレワークって言ったけど、
どんなお仕事されてるのかな…)

少し蒸し暑い空気を吸い込みながら、
私は伸びをします。

(…着物とか着て…作家とかやってたら
萌えるなあ…
あれこれ、次の漫画のいい題材になりそう…)

妄想を膨らます私の近くの茂みからは、
鈴虫の鳴き声が。
もうすっかり夏間近ですね。

(次来られた時には、
英語で対応とか、してみたいなあ。
やっぱり英語、頑張らなくちゃなあ…
…あれ、今日までの英語の課題、やってたっけ。
やだなあオンライン授業…、宿題が多い…。)

なんて事考えながら、フラフラ帰った日のお話でした。


いかがだったでしょうか…。
このシリーズ、好きなので、(まだ第二回)
続けられるように頑張りますね。
みなさん暑くなってまいりますので、
熱中症にはお気をつけて

それでは。

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