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クロミミ(黒見千 くろみゆき)
2021年5月15日 12:36
*** 外に踏み出すと、すでに薄暮が降りていた。あれが最後の夕日だったらしい。と、殊更に赤く染まっていた夕凪の頬が頭を過ぎる。違和感を覚えて掌を上に向けてみると、僅かに濡れる。霧のような雨が音もなく降っていた。思わず顔をしかめた。雨に濡れるのは好きではない。眼鏡をかけている身としては尚更だ。 舌打ちでもしたい気分で走り出した。何かの報いを受けたような気がした。夕凪の家からそう遠くない距離に我