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努力している姿には誰かに幸せをもたらす力がある~喜多川泰『運転者』を読んで~

喜多川泰さんの『運転者 未来を変える過去からの使者』を読みました。

喜多川さんの本は、これで2冊目になります。

ファンタジー小説仕立ての自己啓発書という唯一無二の世界観のため、登場人物の言葉がスーッと心に入ってきます。

「あれしなさい」「これしなさい」と上から目線で言われるのではなく、ストーリーを追うことで自分の経験と重なり、気づきを得られます。

不思議なタクシー運転手と「運」まつわるストーリー

保険の営業をしている岡田修一は、なかなか成績の上がらない日々を過ごしていました。

そこに追いうちをかけるように顧客の大量解約。収入面も精神面も追いつめられてしまいます。

さらには、娘の不登校、ギクシャクした夫婦関係、母親の将来のことなどトラブルが重なります。

「なんで俺ばっかりこんな目に遭うんだよ」

そう独り言をつぶやいたとき、目の前にタクシーが近づいてきました。

修一は無意識のうちに手を上げ、現実から逃げるようにタクシーに乗りこみます。

すると、行き先を告げるよりも早く、走り出すタクシー。慌ててタクシーを停めるように言う修一。

ところが、

私は、岡田さんが連れて行ってほしいところに、車を走らせるわけではありませんよ。岡田さんの人生の転機となる場所に連れて行くだけです

そう言って、目的地である娘の中学校まで送り届けます。

修一のすべてを見透かしているかのような不思議なタクシー運転手と、努力しても報われないと思っている修一との「運」にまつわるお話です。

努力している姿は、他の人に幸せをもたらす力がある

世の中は誰かが頑張る姿からもらったエネルギーの集合体なんですよ。
         ~中略~
たとえば娘の頑張る姿を見て『俺も頑張らないと』って思って大変なことも乗り越えるエネルギーをもらってる

この文章を読んだとき2022年のFIFAワールドカップ。史上初のベスト8入りを目指していた日本代表のことを思い出しました。

クロアチアとの決勝トーナメント1回戦。でPK戦の末に敗れて、叶わなかったベスト8進出。

選手のなかには「努力は報われなかった」と思った人もいたかもしれません。

でも、多くの日本人がベスト16の壁を破ろうとする日本代表の姿に感動と勇気をもらいましたよね。

努力しても、結果が出ない。誰にだってうまくいかないときがあります。

そんなとき、自分の物事に対する姿勢が誰かの勇気や希望になっているって考えたら「少し報われた気持ち」になるんじゃないでしょうか。

失敗や挫折を糧にするのがプラス思考

本当のプラス思考というのは、自分の人生でどんなことが起こっても、それが自分の人生においてどうしても必要だから起こった大切な経験だと思えるってことでしょう

僕はこの言葉に勇気づけられました。

なぜなら、これこそが「心の強さ」だと思ったからです。

失敗や挫折、後悔はすぐに立ち上がれないほどの痛みを心にともないます。

だから、自分に対してマイナスなことが起こった直後は「プラス思考」で捉えられないかもしれません。

でも、ずーっとくよくよしていたら、本当はダメなことくらい自分ではわかっているはず。それでも、なかなか前を向けない。

そんなときこそ思い出したい言葉です。

うまくいかないときこそ読み返したくなる1冊でした

前回読んだ『君に会えたから』は「自分らしく生きるには?」をテーマにした本でした。

今回の『運転者』は、自分らしく生きるうえで立ち向かわなければいけない困難とか壁をどう乗り越えるのかのヒントになる本だと思いました。

誰かに悩みを相談したい。でも、友だちや家族、恋人には打ち明けられない。

そんなとき『運転者』が、あなたを導いてくれるかもしれません。

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