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映画の吹き替えの魅力を語ってもいいですか?

みなさん、映画は字幕派ですか?吹き替え派ですか?

「映画は字幕で見るべき」という考えがあることは重々承知していますが、僕は吹き替えが好きです

本人の声ではないのに、あたかも本人の声だと思わせるような演技。息を吸うタイミングまでピタッと合わせるからできる技です。

そんな吹き替えファンの僕が映画の吹き替えの魅力について語ります。

吹き替えの魅力は映画の世界に没入できる


映像を見て、字幕を読む。そして、映像に戻る。すると、すぐに字幕が現れる。

字幕では視線はあちこち移動し、思考はくるくる巡ります。だから、リラックスをして映画を観ることができません。

吹き替えによって情報がリアルタイムで入ってくることで、あたかも映画の世界に入りこんだかのような感覚になります。

好きな吹き替え版を探す楽しみがある

ひとつの映画でも複数の吹き替えがあるって知っていましたか?

吹き替えには、おもに3つのバージョンがある
①劇場公開版
②ソフト版(DVDやBlu-ray)
③テレビ吹き替え版

最近は劇場公開版の吹き替えが、そのままソフト版に収録されることが多いです。

でも、80年代や90年代の旧作は劇場公開版とソフト版では演じている声優さんが違うことが多々あります。

声優による違いがおもしろい

たとえば、僕の大好きな『ターミネーター2』でアーノルド・シュワルツェネッガー(T-800)の声を演じているのは、

劇場公開版では津嘉山正種さん
テレビ吹き替え版では玄田哲章さん

のちに玄田哲章さんがシュワちゃんの専属声優(=フィックスといいます)となりました。

津嘉山さんは、サイボーグらしい機械的な口調。玄田さんは、より人間に近いなめらかな口調。

どちらの吹き替えにも声優さんの個性があり、魅力があります。

声優さんの違いによって作品の雰囲気がガラッと変わるので、おもしろいですよ。

翻訳による違いもおもしろい

原文の意味や文脈の流れを踏まえ、違和感のない日本語にするのが翻訳者のセンスの見せどころです。

エイリアンが地球を侵略する映画『インディペンデンス・デイ』

エイリアンに反撃を開始する直前、アメリカ大統領が戦地に赴くパイロットを鼓舞するためのスピーチ。

映画史に残るスピーチとして、現在も語り継がれていますが、実は劇場公開版の吹き替えよりもテレビ朝日版の吹き替えのほうが人気です。

【劇場公開版】
「我々は戦わずして死にはしない。みんなで生きるのだ。生き残るのだ。今日、我々の独立記念日を祝おう」
【テレビ朝日版】
「我々は戦わずしては滅びはしない。我々は勝利し、生存し続ける。今日こそが我ら人類の独立記念日なのだ」

本当に微妙な差なんですが、テレビ朝日版のスピーチのほうが自然な日本語ではないでしょうか。

このように声優による違い、翻訳者による違いがある。吹き替えって奥が深いんですよ。

吹き替えが好きだからこそ安易にタレントを起用しないでほしい

日本には魅力的な声優がたくさんいます。

だから、お願いです。タレントや俳優、アイドルを安易に起用しないで。

話題の「人」を起用するとと、マスコミに取り上げてもらえて宣伝効果があるんですよね。大人の事情なんですよね。わかります。

でも、あまりにもセリフと声が合っていないと映画がシラけてしまいます。

映画の配給会社さん、その映画に愛情を持っているなら、プロである声優さんを起用してください。

それが全吹き替えファンの願いです。

吹き替えが好きな人が増えるとうれしい

字幕には字幕の良さがあり、吹き替えには吹き替えの良さがある。

それでも、やっぱり僕は吹き替えが好きです。

声優さんが登場人物の性格や個性を深く理解し、時には憑依しているかのように聞こえる。

声で魅せる演技のおもしろさが吹き替えにはあります。

この記事をきっかけに、ひとりでも吹き替えファンが増えるとうれしいです。

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