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ろんぐろんぐあごー

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デビュー以前に書いた素面では到底読めない作品をひっそりと公開。
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2024年4月の記事一覧

MAD LIFE 362

MAD LIFE 362

24.それぞれの行動(13)6(承前)

「さあ、我々も行くぞ」
 中部と富岡、そして浩次は乗用車に乗り込むと、徹の車のあとを追いかけた。
 小崎邸の前に残ったのは洋樹、中西、江里子、そして瞳の四人。
「俺たちもついていきましょう」
 中西がひどくそわそわした様子でいう。
「やめておけ。俺たちになにができる? 警察の邪魔になるだけだ」
 洋樹はそう口にした。
「そんなことありませんよ!」
 中西は

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MAD LIFE 361

MAD LIFE 361

24.それぞれの行動(12)5(承前)

「そこまでだな」
 俊の背後で男の声がした。
 ゆっくりと振り返る。
「なんだ。ガキじゃねえか」
 背の高い男は驚いた表情を見せたあと、彼の後ろで小さくなっているもうひとりに、
「おまえはこんなガキに怯えてたのか?」
 と冷たく吐き捨てた。
 逃げなければ。
 そう思うのだが、目の前の男の鋭い視線に圧倒されて身体が動かない。
「さて、坊主」
 男は口元に笑

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MAD LIFE 360

MAD LIFE 360

24.それぞれの行動(11)5(承前)

 おしまいだ。
 男に見つかるのは時間の問題だろう。
 絶望感で目の前が真っ暗になる。
 ……ところが。
「うわあっ!」
 頭上から男の情けない悲鳴が聞こえてきた。
「そ、そ、そこに誰かいるのか?」
 その声はひどく震えている。
 もしかして、こいつ……とんでもない臆病者なんじゃないか?
 俊はにやりと笑った。
 だとしたら、形勢は逆転する。
 覚悟を決め

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MAD LIFE 359

MAD LIFE 359

24.それぞれの行動(10)5(承前)

「喉が渇いたな」
 背の高い男が腰を伸ばしていう。
「そのへんでビールでも買ってくるか」
「あ、俺も行く」
 もうひとりも立ち上がった。
「馬鹿野郎。おまえはここにいろ。大事な人質が逃げたらどうするつもりだ?」
 背の高い男は隣にいる女性の顔を横目でちらりと見たあと、
「俺がおまえの分も買ってきてやるからさ」
 そういって、俊の目の前から姿を消した。
 敵

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MAD LIFE 358

MAD LIFE 358

24.それぞれの行動(9)4(承前)

「由利子はここにおまえへのメッセージを残していたんだよ」
 ペンダントの中には小さな水色の紙片が入っていた。
 それをつまみあげて、瞳に手渡す。
 瞳は戸惑った様子で、その紙片に視線を落とした。

 友恵、幸せになってね。

 そう記されている。
 それを見てなにを思ったのか、洋樹にはわからない。
「瞳……」
 洋樹は瞳の肩に手をかけた。
「俺たちのところに

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MAD LIFE 357

MAD LIFE 357

24.それぞれの行動(8)4(承前)

「……話?」
 洋樹は訊き返した。
 瞳の顔は怖いくらいに真剣だ。
「私……俊君に写真を見せてもらいました」
 瞳は真顔を崩さずにいう。
「え――」
 洋樹は動揺を隠しきれなかった。
「おじさんが十六年前にやむを得ず手放した友恵という名前の赤ん坊の写真です」
 いつもと違い、他人行儀な言葉遣い。
 瞳は一枚の写真を取り出し、洋樹の前に差し出す。
 そこには赤

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MAD LIFE 356

MAD LIFE 356

24.それぞれの行動(7)3(承前)

「そうだ! こんなところで話し込んでなんていられないんだよ!」
 洋樹が叫ぶ。
「社長の娘が誘拐された」
「……え?」
 とっさには事の重大さを呑み込むことができなかった。
「誘拐?」
「ああ」
 中西は愕然とした。
 真知が誘拐された?
 まさか、そんな。
「どういうことですか?」
 冷静でいられるわけがない。
 洋樹の肩をつかんで激しく前後に揺する。

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MAD LIFE 355

MAD LIFE 355

24.それぞれの行動(6)3(承前)

「……家出?」
 中部が目をぱちくりと動かす。
「由利子。おまえはもう一度警察に行って、家出人捜索の手続きをしてもらってほしい」
 洋樹は由利子にいった。
「あなたは?」
「俺は社長の自宅に行ってみるよ」
「え。でも、ご迷惑になるんじゃ――」
 洋樹は由利子がすべていい終わらぬうちに、その場を離れてしまった。
「私も行かないと」
 洋樹のあとを追うように、中

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MAD LIFE 354

MAD LIFE 354

24.それぞれの行動(5)3

 街なかで偶然、中部警部と出会ったのは、午後九時半近くになった頃だった。
「中部さん」
 洋樹のほうから声をかける。
「今、ちょうど署のほうへ行っていたんですよ。でも、ほとんど人がいなくて……。なにか大きな事件でもあったんですか?」
「いや、ちょっとね」
 中部は明らかに言葉を濁した。
「誘拐じゃないかしら」
 由利子がそう口にする。
 彼女は俊の身を案じていた。

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MAD LIFE 353

MAD LIFE 353

24.それぞれの行動(4)2(承前)

 中西はベッドの上で何度も寝返りを打っては、大きなため息をついた。
 ずっと真知のことばかり考えてしまう。
 真知の笑顔を思い出すと、胸が強く締めつけられた。
 机の上に置いていた腕時計が午後九時を報せる短いアラーム音を鳴らす。
 中西は上半身を起こすと、自分の頬を思いきり叩いた。
 うじうじ悩んでたって仕方ない。
 ベッドから下りて力強く頷く。
 こうなっ

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MAD LIFE 352

MAD LIFE 352

24.それぞれの行動(3)1(承前)

 ……お兄さん。
 浩次の横顔を眺めながら、瞳は安堵の息を漏らした。
 生真面目で、正義感にあふれた……これがお兄さんの本当の姿。
 本当の――
 ふと考える。
 本当の父と母のことを打ち明けたら、兄はどんな顔をするだろう?
 洋樹の顔が脳裏に浮かんだ。
 私は決して、おじさんを恨んだりはしていない。
 でも……おじさんの娘になることははどうしたってできない

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MAD LIFE 351

MAD LIFE 351

24.それぞれの行動(2)1(承前)

「富岡さん。誘拐事件が起こったんですか?」
 隣に座っていた江利子が尋ねる。
「ああ」
 富岡はぶっきらぼうにそう答え、バックミラー越しにちらりと浩次の顔を見た。
『詳しいことは、君が署に戻ってきてから話すことにしよう。運転中に悪かったな。これで切るぞ』
 無線機から中部の声が届く。
 彼に伝えなければ。
「待ってください!」
 浩次は富岡の手から受信機を奪

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MAD LIFE 350

MAD LIFE 350

24.それぞれの行動(1)1

『富岡! 応答してくれ!』
 無線機から中部の声が聞こえてくる。
 富岡の運転するパトカーには、同僚の警察官以外に浩次、瞳、そして江利子が同乗していた。
「どうしたんだろう?」
 富岡はそう口にしながら、受信機を手に取った。
「はい、富岡です」
『例の誘拐事件だが、たった今、犯人から身代金の受け渡し場所の指示があった』
 中部が早口でいう。
『いまからそのときの会話

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MAD LIFE 349

MAD LIFE 349

23.一難去ってもまだ一難(15)7(承前)

 開いたドアの前には瞳が立っていた。
「お兄さん……」
 じっとこちらを見つめながら言葉を紡ぐ。
「なにしに来た?」
 浩次は動揺を隠し、ぶっきらぼうに尋ねた。
「無理やり怖い顔しなくたっていいよ。全部、芝居だったんでしょう? 私に銃を向けたのだって本当は……」
「おまえ、瞳にしゃべったのか?」
 そういって江利子を睨みつける。
「ええ、しゃべったわ

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