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【電子災害】1つの支払い方法にこだわるリスクを考える【キャッシュレス派】

QRコード決済が使えない?

昨日、4回もQRコード決済が使えない状況に直面した。
※ちなみに、今夜も使えなかった…。

  1. 昼のファミマ:楽天ペイ

  2. 夜のマツキヨ:楽天ペイ

  3. 夜のマツキヨ:PayPay(1回目)

  4. 夜のマツキヨ:PayPay(2回目)

そこで、その原因と1つの決済方法にこだわるリスクを考えていく。

原因はAWSの障害

昼のファミマで使えなかったときは、

  • 店頭の端末が一時的に故障している

  • 楽天ペイがメンテナンス中

のどっちかかだと思っていたんだけど、

  • 別の時間帯

  • 別の店

で決済ができないというのはどう考えてもおかしい。

そこで、とりあえずPayPayに変えてみたんだけど、それでもエラー。
それどころか、「このクレジットカードは使用できません」みたいなメッセージまで出てくる。

もしクレカが本当に止まっているならかなり面倒なことになる。
ということで、普通のカード払いを試したんだけど、なぜかこれはいけた。つまり、クレカは止まっていないからPayPayが嘘をついていることになる。

さらに同日、JALのWebサイトでアクセス障害が発生していたらしい。

ここまでくると、「いろんなネットサービスが乗っかってるクラウド(漠然)」自体に問題あると思えてくる。

マック(イオン店)・丸亀製麺(イオン店)・ミスド(イオン店)すべてに電話がつながらなければ、イオン全体がヤバいんじゃないか?ってこと。

それで、JALはAWSっていうamazonのサービスを導入していることが分かった。

両社は JAL グループが運航する航空機の管理や機体の整備、旅客サービスなど、事業のさまざまな場面で活用するシステムを刷新すべく、新たなクラウド基盤「CIEL (シエル)」の構築プロジェクトを展開。AWS 環境においてクラウド API 基盤の標準化や顧客対応システムの刷新を実現しました。

快適な空の旅を支えるシステムに AWS を採用
236 を超える厳しいセキュリティ基準をクリアし安全かつスピーディな構築を実現

ってことは、イオン=AWSだから、楽天ペイもPayPayもAWSを使っている可能性が高い。

2019年6月にAWSのイベントでは、PayPayのシステムについて講演が行われ、その内容を知ることができました。
PayPayのシステムには、EC2・RDS・S3・CloudFrontなど多くのAWSが利用されています。

AWSは世の中でどれくらい浸透しているか~各有名企業導入事例【最新版】

これで、

  • 楽天ペイ

  • PayPay

  • JAL

がAWSを導入していることは分かったから、後は最近AWSで障害が発生しているか確認できればOK。

当日の昼間に障害レポートのパルスが発生している。

これで、「AWSが障害を起こすとQRコード決済が使えなくなる」ということが分かった。

ちなみに、「d払い」のシステムもAWSに乗っかっている。

年間約 1,000 万ユーザーの増加に対応しながら、短周期に多くの機能追加・改善を実施することが可能になったのは、AWS 活用による運用負荷軽減により、お客様に新たな価値を提供するための時間を増やすことができたからです
大堀 哲央 氏
株式会社NTTドコモ
プロダクトデザイン部 ウォレットサービス担当 担当課長

NTTドコモ : 『d払い』アプリのバックエンドシステムを AWS に移行、CX 向上施策を短サイクルで実施

AWSはamazonのサービスだから、こいつの障害が原因でシステムが使えなくなったとしても導入企業は自力で解決しようがないんだ。
さらに厄介なことに、AWS障害中なら全員が決済エラーになるわけでもないらしい。

  • 自分のスマホやアプリのバージョンが問題なのか

  • クレジットカードが本当に止まっているのか

  • AWSの問題なのか

瞬時に区別するのは難しいんだ。

真のリスクは「電子災害」

「災害が起きたら使えなくなる」がキャッシュレスのデメリットとして言われがちだと思うんだけど、それって地震や停電なんかの物理災害を想定してるんじゃないかと思う。

でも、ちょっと考えてほしい。

地震でキャッシュレスが使えないレベルのダメージを受けた街で現金が価値を発揮するだろうか、いやしない(反語)。
停電したら「急に買い物行きたくなったわ~、持っててよかった樋口一葉」となるだろうか、いやならない(反語)。

停電が長期間続いたら困るじゃない、という気持ちはわかるんだけど、日本でそれが起こるのは台風のシーズンだけで、地域も限定的。

現金を持って停電&台風直撃の外に買い物へ出かけるのはむしろ危険。本当に長期の停電に備えたいなら毎年台風シーズン前に保存食を買っておけばいいじゃない。そして、その際に現金を使う必要はない。なぜなら、停電は起きていないから。
だったら、そんな事態に現金で備えるのは無駄だよね。

だけどAWS障害、つまり電子災害は、

  • 何のダメージも受けてない街

  • 支払いを済ませようとしてる人

  • 買い物に出かけようとしてる人

24時間無差別に降りかかる。しかも、被害規模は目に見えないから、

  • 何時間・何日で元通りになるのか

  • 本当に元通りになったのか

なんて、一般ユーザに知る術はない。

詳細は↑を見てほしいんだけど、過去にAWSでは以下のタイミングで障害が発生している。

  • 2019年8月23日

    • 東京リージョンの障害

  • 2020年10月22日

    • AWS障害

  • 2021年2月20日

    • アベイラビリティゾーン(apne1-az1)の障害

  • 2021年4月20日

    • SQSを起因としたAWS障害

  • 2021年9月2日

    • AWS Direct Connect障害

時期も原因も様々だけど、とにかくAWS障害が起こるっていう結果だけは共通している。

起きる頻度を下げるのは、amazonの優秀な人たちに頑張ってもらうしかない。
自分たちにできるのは、この無差別な電子災害が起きたとして、影響を受けずに生活する方法は何か?を考えること。

ドリルではなく穴が欲しい

ところで、マーケティング理論で有名な言葉で「顧客はドリルではなく穴を必要としている」っていうのがあるんだけど、今回のケースも同じ。本当に欲しいのはQRコード決済ではなく、目の前の商品だ。
だから、目の前の商品が手に入る「ドリル」が他にもあるなら、それを使えばいいじゃない。

その「ドリル」を豊富に取り揃えておくことは、すなわちAWS障害の影響を受けるリスクを減らせるってことだよね。

ドリル1:別のキャッシュレス決済を用意する

楽天ペイとPayPayが使えない間も、交通系ICクレジットカードの決済はできた。
たまたまVersa3にSuicaを設定したばかりだったからファミマで使ってみたんだけど、交通系ICの端末が向かって左側にあるから左手首に着けていると物理ICカードより支払いがやりやすいね。

こういう別のキャッシュレス決済方法があれば、AWSに完全依存していない生活ができる。
逆に、例えば交通系ICのシステムがダウンしたとしても、楽天ペイやPayPayで決済ができる。

Suicaが2026年にクラウド化するらしいから、交通系ICはAWSに行くかもしれないけどね。

これはお店側も同様で、QRコード決済以外のキャッシュレス決済を受け付けるようにすべき。PayPayだけ置いてやり切った感を出さないでほしい。
AWS障害だから現金で、は面倒すぎ。

ドリル2:現金を持つ

1円も現金を持たないキャッシュレス決済ユーザがいるだろうか、いやいない(反語)。

なぜなら、現金がないとラーメン屋に入れないから。

ドリル3:キャッシュレス決済自体を使わない

イマドキそんな人がいるか不明だけど、現金だけで生活すればAWS障害とは無縁。
ポイント分の可処分所得が減るし、年齢を重ねるほどクレヒスが真っ白なダメージはデカくなるからこれの選択肢は極端すぎ。

まとめ

結論としては、「ドリル1&2」の合わせ技が最も決済に失敗するリスクを抑えられつつ、お得にできると思う。
ただ、「ちょっとコンビニ行ってくる」程度の外出に、

  1. スマホ(QRコード決済)

  2. 交通系IC

  3. クレジットカード

  4. 現金

全てをバラバラに持つとあまりにも身支度に手間がかかる。できればスマホとエコバッグだけで出かけたい。

ということで、このnoteでも書いたけどやっぱり「NFC搭載スマホ」が必須な時代が来たのかなと思う。

NFC(Felica)を搭載していれば、

  1. QRコード決済

  2. 交通系IC

  3. クレジットカード

スマホ1台で管理できる。クレジットカードはNFCタッチ式のものに限るけどね。

さらにスマホケースとの隙間に1万円札を入れてしまえば、現金もスマホと一緒に持ち運べる。どうせめったに使わないんだから、取り出しにくくてもいいじゃない。
つまり、4つのドリルをポケットに入れて持ち運べるんだ。

今使ってるスマホがNFC非対応の場合は↑のnoteを参考に安い乗り換え先を検討してほしい。
今使ってるスマホがNFC搭載済みなのに、使っていない場合はせっかくの性能を活かしきれていない。時間の節約・お金の節約になる可能性が高いから人生経験と思って使ってみてほしい。

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