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コロナBBQ

世の中は「コロナ」で大騒ぎ。
皆で集まり、ワイワイしたい気持ちを押さえて過ごす日々。
いつまで続くんだろう?もうウンザリだ…。
仕事帰り、スーパで一人食材を買い漁りながらそんな事を考えていると、 ふと豪華なパッケージに身を包んだステーキが目に入った。

「よし!どうせなら、奮発して高いステーキを買おう。」

もんもんとした毎日に刺激を与えるべく、目に入った 高そうなステーキを買い物かごへ入れる決心をする。

「うん、せっかく高いステーキを買うんだから お酒もちょっとだけ高いの買っちゃおうかな。」

それから、これもこれもと結構な量の買い物になってしまった。 …お会計、12100円。

「えぇ…」

どうやら奮発しすぎたらしい。一食分の値段にしては思った以上に高かった。
まぁいいだろうと、家に帰って夕飯の準備をはじめる。
今日はこれから一人BBQだ。
一人ではBBQとは言えないかもしれないけど、気持ちだけでもBBQするんだ…。
炭壺に入った炭を備長炭を使って加熱する。
その間にインターネットで購入したちょっと拘りの塩と胡椒をもってきて、 買ってきた焼き鳥やお酒、その他おつまみを準備していく。
なんだかんだやってる間に炭の加熱も十分に。
さっそくコンロに炭を入れて、塩と胡椒をなじませておいたネギまを 金網の上に並べていく。
さぁ、ネギまが焼けるまでの間に本日の主役、ステーキの調理だ。

お値段、なんと1枚6000円! 一般市民の私にはちょっと高い…(笑)
そしてこれを調理するのに登場するのが、自分で加工して自分でコーティングしたお手製の鉄板だ。
拘りの道具。
マイ鉄板は使えば使う程、味が出ていき愛着が湧いてくる。
BBQには欠かせない。
今回、このステーキは金網で焼くのではなくこの鉄板で焼いていく。
肉汁も逃がしたくないのでアルミホイルを使って包み焼きにしよう。
少しケチ臭いが、これがまた美味しい。
銀タッパの上にアルミホイルを引き、その上にステーキを置いて 少し控え目に塩と胡椒を振りかけ味付けしていく。


なんだかんだやってる間に先程、金網の上に並べていた ネギまがいい感じに焼けてきた。
鉄板の上にアルミホイルに包まれた本日の主役を投下し一旦放置。
プシュッ!とビールを空ける音に心躍らせながら、いい感じに焼けたネギまに かぶりつく。
そのまま、ネギまを片手にゴクッゴクッとビールを喉の奥へと流し込む。

「ぶはぁー!美味しい!」

本日の疲れが吹き飛んでいくかの様な幸福感。
誰もいないベランダで一人、私はなんとも言えない幸せに包まれた。
BBQと言えば皆で楽しく行うイベントと思われがちだが、 一人でやるBBQもなかなかにいいものだ。
あっという間に一本目のビールを飲み干し二本目を手に取る。
今度は、殻のまま焼いていたエビをおつまみに一杯。 こんがりと焼けたエビの香ばしさがお酒を飲む手をさらに加速させる。
お次はしいたけ。
じんわりと汁が出てきたコイツに塩ではなく醤油かけてパクリ。
思わず笑みがこぼれる。

「うまいな…」

好きな物を自分のペースで好きなだけ食べる。 なんだかんだ一人でのんびりできるBBQも楽しいな…

「さて、そろそろかな」

ビールとおつまみで前半の小腹満たした後に待っているのは 本日のメインディッシュ。
この為に、炊きたてホクホクの米も準備済みだ。
ウキウキ気分で鉄板の上を覗き込み、包み焼きにしていたステーキの様子を見る。
「ソイツ」はいい感じに火が通っており、今まさに食べごろ。
炊き立てのふっくら白ごはんとのコンビネーションは想像しただけでよだれが出る。
早く食べたいという気持ちが抑えきれず、 フォークで丸ごとステーキを持ち上げて、がぶりっ 。

「……うまい。」

ジューシーで肉厚なのに口に入れるとあっと言う間に溶けていく。
口いっぱいにひろがる肉のうまみが一瞬で舌を突き抜けて、頭が次の一口を求めだす。
幸せなひと時、文句なしで令和一うまかった。
そういえば、年号が変わってからゆっくり一人で食事を楽しもうと 思ったのは今回が初めてかもしれない。 私はなんだかんだ面倒くさがってコンビニ飯などで適当に食事を済ませてしまう事が多い 。
そのせいか反動でより美味しく感じたのかもしれない。

「ふー、うまかった…」

口の中で溶けていくステーキは、気がつくと全部なくなっていた。
さて、そろそろ一人BBQもラストスパ―ト。
ちゃわんに少し余った白いご飯の上に新たな白いご飯を盛り付ける。
それの上からさっき包み焼きに使っていたアルミホイルの中に残っている 肉のうまみが溶け出した肉汁と最初に味付けした調味料とが混じった、 夢の液体を混ぜ込んでいく。
「夢の肉汁飯」の完成だ。
プシュッ!とお決まりのビールを開け一口。 お茶漬けを掻っ込む様に肉汁飯を口の中へ一気に放り込んでいく。

ゴクッゴクッ。

そして肉汁飯を放り込んだ後は仕上げに一気にビールを飲み干す。

「ふぅー、ごちそうさま。」

こうして一人BBQの幕が下りた。
体に悪そう…というのは、ひとまず置いておこう。
さすがに、買ってきた食材を全て使い切る事はなかったが 久しぶりに十分満足できる楽しい「食」の時間を過ごす事ができた。
コロナで友達と集まったり遊びに行ったりという事ができない中で 仕方なくストレス発散でやってみた一人BBQ。
しかし、これが思った以上に楽しくて 充実した時間を過ごすことができた。
これからも時間を見つけて一人BBQをしてみようと思う。
コロナで身動きがとりずらい今だからこそ、見つかる発見も以外とある のかもしれない。

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